垂水わらびの走火入魔

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自主ゼミ外書講読中国語 わらび式 殺破狼 用語集

殺破狼はスチームパンクなので、しゃぽ界でしか使わない単語がいくつかあります。

日本語で使わない、ほとんど使わない字をそのままにするのも気持ち悪くて、変えたものもたくさんあります。

わらび式しゃぽ界の用語集を作った方が、後々(特に私が)何かと楽かなと思ったので、中盤を過ぎつつあるけれど今からまとめます。

読み方を日本語読みで統一するべきかと頭を抱えている理由

最後まで至って、読み仮名を振るときには日本語読みに統一するのが良いのかもしれないと思いました。

理由は、「魔道祖師」で「温狗」という温氏への罵り言葉に「ウェンく」とふりがなが振ってあったことです。翻訳チーム、出版社さんで散々議論なさった結果でしょうけれど、垂水はなんか嫌だなあと感じました。「魔道祖師」は、言わずと知れた「陳情令」の原作です。

 

 

 

魔道祖師では、人名+武器+地名がピンイン風読み仮名でした。

今回の殺破狼では人命のみをピンイン風読み仮名にしようかなと考えています。

陳姑娘。姑娘は「くーにゃん」って中国語を学んでいない日本人でも読めると思うのですが。Miss Chenだから「陳嬢」に変えるのも妙です。「陳家のお嬢さん」「陳氏のお嬢さん」は長すぎます。略して「お嬢さん」?と頭を抱えました。

重大で切実な問題として、そのまま「こじょう」にすると、あの陳姑娘がちょっと気の毒な感じになってしまいます。CPの大恩人の陳姑娘を笑い者にするわけにはいきません。

ただ、曹娘子は「娘子」を中国語を学んでいない人が「にゃんず」と読めるかというと問題があります。なのでこの人は「そうにゃんず」ではなくて「そう・じょうし」。

になると、陳姑娘が「ちん・くーにゃん」なのが浮きます。

次に、十八部落の人たちの名前が、中国語の意味ではなくて、音でとってるのではないでしょうか。「ひめこ」を名乗ったら「卑弥呼」になったという説があるけれど、そんな感じで。

ということで、第二原稿では人名のみをピンイン風読み仮名にしようかと考えました。

用語集

容赦無くネタバレをしているので、読書中の方はできたら回れ右。一度読み終わった人が読み直すときのお供にどうぞ。

これが完璧なものだとは思っていないので、ご意見ご感想大歓迎です。

個人利用でしたら、スクショ保存、コピー保存可能。ただし、SNS含めてスクショでの転載一切不可。一行二行程度をコピーして、リンクでどうぞ。

理由は、自主ゼミ外書講読中国語(殺破狼)が終わるまで手を加え続けるから。また、公式に日本語での翻訳が出るときには下げたほうがいいだろうとも思います。

また、わらび式なので日本語版が出たときには訳語が違う可能性があるのがまた一つ。さらにもう一つ、容赦無くネタバレしているから。

上にも書いているが、Wikiその他への転載不可。各SNSにてスクショでの転載をしている人を見かけたら、アカウントを運営に著作権侵害で報告してください。

ピンインは、書虫さんを使いました

https://www.frelax.com/sc/service/pinyin/

 

原文 (ピンイン) 日本語読みもしくは訳語。

説明

組織関係

玄铁营 (xuán tiě yíng ) 玄鉄大隊 げんてつだいたい

玄鉄(黒い鉄)を使った甲(=鎧)を使う、梁最強の軍団。玄鷹、玄甲、玄騎の三種がいる。顧昀本人は大抵玄騎隊と行動を共にし、斥候に玄鷹がいる。しかし、都の包囲のときなど重要な局面では重甲(玄甲・鋼甲)をつけて玄甲隊と共に戦う。沈易は比較的よく顧昀と行動を共にするが、命じられて別行動を取ることもある。

营は「営」。駐屯地・駐留地を示すこともある。日本語で「大本営」の営。ところが、この营は大隊そのものを示すこともできる。日本語の「営」は「いとなむ」と、「兵営」はあるのだが、大隊そのものを意味しないのではないかと思う。中国語では、部隊がいるところが駐留地という感覚ではないかと考える。なので、安定侯の率いる「玄铁营」に関しては、「玄鉄大隊」と訳した。

駐屯地・駐留地を示すときには「基地」が良いかと思う。玄鉄基地…(また頭を抱えている)

 

玄铁三部 (xuán tiě sān bù)玄鉄三部隊

玄鉄大隊は三軍種展開するので、「玄鉄三部」とも呼ばれる。日本語にするときにはやはり「玄鉄三部隊」の方が適切であろうかと。

 

北大营 (běi dà yíng) 北方大隊 

北の大隊とやったこともあるが、やはり北方大隊の方がかっこいい気がする。いや、北部大隊か。しかし北部大隊だと、領土の中で北部のような気がする。いや北方でもか…いずれにせよ、都の北にある、都の防衛を司る部隊。

今の所「北部大隊」、場所を示すときには「北部基地」。

 

 (shuài) 帥

大帅で軍の最高司令官だろうけれど、大帥とは日本語ではあまり言わないのではないかということで。「元帥」にしている。主帥(その部隊の長)はそのまま残している。

もちろん、大帅とは顧昀のこと。

 

灵枢院 (líng shū yuàn) 霊枢院 れいすういん

かつて沈易が、そして今は葛晨が属する組織。紫流金を使った物を作り出す組織。

 

护国寺 (hù guó sì) 護国寺 ごこくじ

梁は仏教を厚く信仰する。おそらく一番格式の高い寺。

 

军机处 (jūn jī chù) 軍機処 ぐんきしょ

史実では、清朝雍正帝時代に作られた軍事・政治の最高諮問機関。「軍機所」と訳したところがあるが、どうやら軍機処の方が良いっぽい。wiki情報

軍機処 - Wikipedia

 

御史台 (yù shǐ tái) 御史台 ぎょしだい

史実では、監察事務に当たった部署。

 

督察院 (dū chá yuàn)  督察院 ていさついん

史実では、明・清時代に刑部の下にあった。監察を担当する部署。しゃぽ界には、監察を担当する部署が二つあったということ。

 

翰林 (hàn lín) はんりん

翰は筆のこと。筆の林、つまり文人、学者。唐では翰林院で詔書を起草させた。明清では科挙に合格し、翰林院に属した人を翰林と呼んだという。しゃぽ界は貴族政治であると同時に、多少貧乏な家庭に生まれても、科挙を合格すれば官僚として朝廷に参画できるようになるという社会。

しゃぽ界では、翰林院に属しなくても、名門出身ではなくて科挙に合格した文人を翰林と呼ぶのかどうか、どこかに書いてあったような気がする。沈易ももともと科挙に合格した翰林だったが、奇人なので霊枢院に入った。

翰林とは - コトバンク

 

钦天监 qīn tiān jiān  チンテンジェン 欽天監 きんてんかん

明・清朝天文台・気象台。沈易の父がそこにいた。やはり、本作は明以降です。

欽天監とは - コトバンク

 

京兆尹 (jīng zhào yǐn) ジンチャオイン けいちょうい

この場合は都のある郡の長官

 

临渊阁 ( lín yuān gé) リンユアングー 臨淵閣 りんえんかく

しゃぽ界における「中原」に危機が迫ったときに立ち上がる謎の組織。少年時代に長庚はこの組織と親しみ、長じてその組織を見破って手中に収めた。

 

运河办 (yùnhé bàn)運河事務所

運河沿いの工場を管理する組織。

紫流金関係

紫流金(zǐ liú jīn)ズーリウジン しりゅうきん 

しゃぽ界のエネルギー源。別名「大地の心」。可燃性の砂?決して石油ではなく、爽やかな香りがするらしい。

 

长臂师 (zhǎng bì shī)ジャンビーシ 長臂師 ちょうひし

紫流金を使った物(ロボットや武器)を作ったり修理したりする人。しゃぽ界では必須だがあまり身分が高くない。登場時の沈易という人は何でもできる人で文人で家庭教師もするし馬のお産を扱ったりする上に、機械いじりが大好きな変人として登場する。

「長臂」は手が長いという意味。長臂人という中国の伝説があるのだが、日本では「手長足長」の手長。手長師でいいのかと思ったのだが、いまいち理解できないので、そのまま簡体字を直しただけ。

 

金匣子(jīn xiá zi)ジンシアズ 金の箱 きんのはこ

匣子は蓋つき小箱のこと。匣の字は日本語ではあまり使わないので「金の箱」とした。

紫流金を燃やす内燃機関だと思う。紫流金で動かすものには全てこれがついている。強い衝撃を与えると爆発する。最大の弱点でもあるので、自爆装置化して特攻したり、敵の金の箱に衝撃を与えて敵を爆殺する。

 

傀儡 (kuǐ lěi)クイレイ くぐつ

ロボットのこと。家事をする傀儡もいれば、子どもが武芸を稽古する傀儡もいるし、耕作を行う傀儡もいる。もちろん、戦闘用の傀儡も存在する。動力源はもちろん紫流金。

 

耕种傀儡 (gēng zhòng kuǐ lěi) ガンジョンクイレイ 耕作用傀儡

江南で展開した耕作用の傀儡。昼夜を問わずに働き、米価が大幅に下がった。当初は良いようにも思えたのだが、労働者がいらなくなってしまい…

 

木鸟 (mù niǎo)ムーニャオ 木の鳥 きのとり

臨淵閣で使う、通信用木の鳥。それぞれが別の磁石を持っていて、どこからでもそこに飛んでいく設計。

 

铜吼(tóng hǒu) トンホウ 銅の咆哮

銅製のメガホン。ラッパかと思ったらそういうわけでもなく、いろんな大きさのものがある模様。多分紫流金も使わないと思います。

武器

巨鸢 (jù yuān)ジューユアン 巨凧 きょだこ

鸢は、凧揚げの凧のこと。しゃぽ界では巨大な空飛ぶ飛行船。繁体字版の巻一の表紙に描かれている龍のついたあれ。しゃぽはスチームパンクだけど、あくまでも中華架空戦史です。

火翅 (huǒ chì) ホォチー 火の羽(一部「火の翼」しているところがあるが、多分誤訳)

鸢のエンジン。何枚も何枚もあって、大きな翼を形成する。

 

红头鸢(hóng tóu yuān) ホントウユアン 紅凧 紅の凧 べにだこ べにのたこ

巨鸢よりも小ぶりで、紅色でとても美しいらしい。こちらは飛行船だけど凧らしく、大晦日に揚げて地上と結ばれてゆらゆらしてる。やっぱり凧としか言いようがない。

 

大雕(dà diāo) ダーディアオ 大鷲 おおわし

直訳すると大きな鷲。背中にジェットエンジンのようなものをつけるのが「鷹」。「鳶」が飛行船。ただし中国語の「鳶」は凧なんだよ。鷲が鷹のエンジンをつけた飛行船ということ。一貫してるんですよね。

 

鹰甲(yīng jiǎ) インジア 鷹甲 ようこう

これを着て空を飛ぶ。玄鉄三部の一つ、「玄鷹」の使う鎧は、真っ黒である。

 

裘甲(qiú jiǎ)・轻甲(qīng jiǎ)轻裘甲 原文に従って裘甲・軽甲・軽裘甲

同じものを指していると考えている。軽甲というのは、騎兵用にの軽い鎧セット。裘というのは、毛皮のこと。つまり、玄鉄大隊の玄騎は玄鉄と毛皮を組み合わせた鎧をつけている。ちなみに顧昀は基本年中これをつけている。

 

面罩(miàn zhào )メンジャオ 面 めん

「甲」の一部分。顔を覆うもの。

「罩」という字は日本語にないわけではなく、「かご」「とう」と読み、竹で編んだ、魚を取ったりするかごを意味する。中国語では覆いのこと。現在では(病院で使うような)マスクにも使う。本来は竹で編んで覆いにも小さな籠にもなるようなもののことではなかろうかを連想している。しかし、日本語では一般的ではない。日本の鎧にも、顔を覆う「面(めん)」がある。あれのこと。

头盔(tóu kuī)トウクイ 兜

 

钢甲(gāng jiǎ)ガンジア 鋼甲 こうこう

重甲のみならず、鋼鉄製の鎧全体のことを指していることをようやく理解した。

そのため、前半には「重甲」に変えているところがあると思う。

 

袖中丝 (xiù zhōng sī) シウジョンシー 袖の中の絹

暗器。羽根つきの刃物を飛ばす。

 

(jiāo)ジャオ こう

しゃぽ界の軍種の一つ。蛟(みずち)という通り、軍艦。

 

水怪(shuǐ guài)シュイグァイ 水の妖怪

水怪というと、水死した…を連想しませんか?私はします。というわけで、水の妖怪にしておいた。

西洋海軍(しゃぽでは水軍と書く)の…です。

 

大海怪 (dà hǎi guài ) 大がつくこともあればつかないこともある。海の妖怪

これもまた、アレです。

 

长蛟 (cháng jiāo)長いらしいよ。

 

钢甲火机 

火机 蒸気式武器

 

短炮(duǎn pào)ドゥアンパオ 短砲 短銃 短筒

鉄砲だと理解していたのですが、大砲のちっちゃい版でしょうか。まだよく理解できていないのもあって表記が揺れてます…

 

白虹箭 (bái hóng jiàn)バイホンジェン はくげいせん(「白い虹」としているところもある)

「白虹日を貫けり」(「戦国策」より。臣下が謀反を起こすこと)の「白虹」の通り、武器の暗喩とも使われる。おそらくかなり不吉な存在。

白虹鉄箭は大型の矢。弓の方ではないことに要注意。

 

铁箭 (tiě jiàn) ティエジャン  鉄の矢。私は弓道経験者なのだけど、多分現代日本弓道で使うあの矢とはまたちょっと違うのではないかと思う。

 

铁骑 (tiě qí)ティエチー 鉄騎 鉄騎

鉄騎兵のこと。玄鉄三部の一つ玄騎は、黒い鎧をつけた鉄騎隊。

 

割风刃 (gē fēng rèn) グーフェンレン 割風刃

刃が出ていないと棍棒のような形状をしている。突き出したりひっこめたりして中に仕込んだ回転刃を操る。玄鉄大隊の実に凶悪な武器。

 

地理など

北蛮 (běi mán)北方の騎馬民族のこと

ほら、中国は、自分たち以外は「野蛮」な連中だと言うから。

そのほか、洋毛とか、日本語で出版するときにはかなり気を使うだろうなあと言う言葉遣いのオンパレードですが、私訳だからそのまんま残す。現代中国人のその意識もまた、読み取るべき部分であろうかと。

 

番邦(fān bāng)ファンバン 番邦

これも上に同じ。西域よりも西方の国々をざっくりとまとめているのではないか。

特に、西洋のことを指しているように思われる。

 

东瀛 (dōng yíng) ドンイン 東瀛

東の海に、手のひらサイズの列島があるんだそうな。なんか湾曲した刀を使うし、体の小さくてやたらと柔らかくて、刃物を投げてくるんだそうですよ。

 

关外 (Guānwài)関外

辞書的には「山海関以東の地、嘉峪関以西の地」。西域で使われる場合には(嘉峪関そのものが舞台になるようなシーンもある)この通りであろうと思う。

ところが、北方にある雁回に出てくるときは、「城門の外」であろうかと思う。

 

人名

加莱荧惑 (jiā lái yíng huò ) 加莱熒惑 

熒惑とは、火星のこと。

胡格尔 (hú gé ěr)フゲアー (エフゲニー?)

建物

起鸢楼 (qǐ yuān lóu) チーユアンロウ 凧揚楼

红头鸢の基地であり…

 

摘星台(zhāi xīng tái) チャイシンタイ 摘星台

云梦大观 (yún mèng dà guān) 雲夢大観

 

祈明坛(qí míng tán)祈明壇

禁飞网

 

飞檐阁 (fēi yán gé) フェイヤンガー 飛檐閣 ひえんかく

檐(のき)のこと。揚州にある。

そのほか

西北一枝花 (xī běi yī zhī huā) シーベイイーチーホァ 北西の花 ほくせいのはな

大抵西域方面に駐留している顧昀が自分の美貌を鼻にかけて自称する言葉。「北西の一輪の花」というか、「北西一の花」だが、北西随一としたくなるし、「北西の花」の方がいいかな。日本語の北西を中国では西北と言う。日本語では東西が先に来るのは、西南戦争、東北地方(東北大学など、東北地方のXX)のような固有名詞のように思う。方角を指す場合には南北が先に来るので「北西」としている。固有名詞だし、肝心な単語の一つなので、そのまま「西北一枝花」でもいいような気がしなくはない。

 

よく間違えるのでメモ。

駐留=(軍隊が)ずっと止まること

駐屯=(軍隊が一時期、または時間を定めないで、ある土地にとどまること

進駐=(軍隊が)外国に展開

https://dictionary.goo.ne.jp/thsrs/16090/meaning/m0u/

ところで皆さん、琅琊榜はご覧になりました?

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