垂水わらびの走火入魔

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中国語の辞書について

質問があったので。

普段使っている辞書

小学館の中日日中

一つ目の中日日中辞典に小学館をおすすめします。

2版を持ってたけれど、3版がアプリで出たので、物書堂のアプリケーションを使っています。

物書堂は、春(3月か4月か)にセールをするので、そのときに買うのもよろしいと思います。

紙の辞書には紙の辞書の良さがあるのだけど、中国語の場合は引くのが大変でして。

アプリケーションの辞書の良さは、手書きで検索できることです。

問題は、繁体字はあんまり得意じゃなさげなことでしょうか。

個人的に簡体字はバランスが崩れてただでさえ読めない字が読めなくなるから苦手です。元々香港・台湾(特に台北)をぶらぶらしてた人ですから、心理的に馴染みがあるのは繁体字です。

でも、もう簡体字からは逃れることはできないなあと思います。

繁体字で引けて繁体字の中国語で説明してくれるのは、中国の辞典や、中華民国の国語辞典です。下に書きます。

小学館の書籍の辞典ももちろん購入可能。値段を見ていただければわかりますが、どんなにアプリが安いか。

また、コトバンクで採用されているのも、この小学館です。ただし、コトバンクでは全てが載っているわけではなく、文法の説明部分が抜けているように思います。

 

もう一つ物書堂には、超級クラウン中日辞典があります。これも買いました。

意味だけを調べるには超級クラウンも悪くないのだけど、例文が少なくない?(というか、今の所見たことがない)。

むしろウェブリオの白水社の方が…というくらいで。

ただし、言葉の感覚を掴むには複数あった方がいいのではないかなと思います。

小学館にないけれど超級クラウンにはあるということもなくはないです。

なので、二つ目三つ目としてどうぞ。

 

ウェブ上で

ウェブ上に辞書があって、それが使えなくはないです。

コトバンクが私の持ってる小学館の中日辞典の3版。上に書いた通り、文法説明がカットしてあります。

kotobank.jp

ウェブリオは白水社

cjjc.weblio.jp

ぐぐったら出てくるのはウェブリオの方が多いかなあという感覚を持ってます。

これなのかな。

 

百度参り

どういう文脈で使われるのかよくわからないときには、百度に入れます。

そうすると、百度でのウィキ的なものとか。知恵袋的な何かが引っかかってきたり。

ざーっと眺めるだけでどういうことか見えてくることがあるので、翻訳作業中によくやります。

もう、お百度参りって感じで。

百度一下,你就知道

中国の辞典

中国の辞典というか「字典」の方が正しそうですが、アプリケーションでいくつか持ってます。

现代汉语词典(現代漢語詞典)通称「現漢」が中華人民共和国の一番権威のあるもののようです。作者からしてすごい。2021年段階の最新版は7版です。

このアプリは、意味だけを出すなら無料で行けるけど、用例その他まで求めるなら買う方が使いやすいです。

そして、買ってるのにオンラインでないと使えません。

あと、文字の説明なので、やはり繁体字も書かれているから、繁体字本を読む人にもお勧めできます。

新华字典新華字典

もっとも古くからあるものらしい。2021年段階での最新版は12版。

アプリは一回か二回引いたら、購入しないと使えなくなりました。(なので買った)

商务国际现代汉语大词典 (商務国際現代漢語大詞典)

こっちは多分ビジネス系じゃないかなーと思われる。会社を舞台にした話なんかを読みたい場合には役にたつかもしれない。

こっちは買ってません。

他にもいろいろあるようです。中国の辞書については、参考になったのがこれ。

www.komazawa-u.ac.jp

大学のHP、特に大学の本部からリンクされているようなページや、一年生二年生向けの入門的シラバスには、専門家が懇切丁寧にガイダンスをしてくれるものがあります。独学ででも学び直そうと思うときには、いろいろな大学のHPを見てみると、独学使うべき基本的な本のあたりをつけることができるからおすすめです。

中華民国の国語辞典

もちろん、中華民国はまだ存在するという建前がありますので。中華民国の国語辞典とは、台湾の時点と言う意味です。台湾華語。

台湾の政治的なトピックスについては論じないよ。

オンライン版が教育部国家研究院のHPで公開されてます。

dict.revised.moe.edu.tw

繁体字組はこっち。

 

殺破狼(杀破狼)の繁体字・簡体字の書籍の買い方

残念ながら、私が愛してやまない杀破狼は晋江文学城では読めなくなってしまいました。

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私は繁体字簡体字もどちらも書籍を所有しています。

購入方法を質問されることが複数回あったので、まとめます。

繁体字版は、台湾から輸入しました。完売間近と思われるのでお早目に

私が購入したのは8月です。台湾の威向から直接購入しました。リンクを置いておきます。

www.uei-shiang.com

会員登録後に購入できます。

このときは日本のクレジットカードを使っています。海外通販では結構プリペイドカードを使うのですが、この時はチャージを面倒がって使っていません。

あの頃ならまだぎりぎり横書きも買えたようですが、しくじってしまい、縦書きのみを購入しました。

費用は1902台湾ドル(=7500円くらい)。元は台湾ドルです。もちろん。

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「加強包装」は先達が良かったということなのでそうしました。

十日後に突然到着しました。配送はEMSです。実は、迷惑メールフォルダに発送通知がありました。会員登録しますが、ここの中には追跡番号などはなかったです。

かなりぐるぐると包装されてきたので、20元の価値はあったと思います。

垂水には有償・無償を問わず購入サポートはできません。中国語書籍を買おうというのだ、中国語の初歩くらいやろう。

台湾版について

なお、台湾版は、一度2016年に龍馬文化出版というところから出版されている模様です。私はこれはすでに絶版になっているのではないかと推測しています。この版は、台北で二手(中古屋)を回るとあるかもしれません。台大の近くの、茉莉を覗きたいところです。台湾のお友達に聞いてみようかと思ったのですが、BLを好む方に心当たりがないので聞けずにそのままです。ただ、台湾の古本は、状態があまり良くないことが多いので要注意です。本が丈夫ではない上に、基本的に日本人ほど本を丁寧に扱う国は少ないです。

それが、2021年になってから威向文化から再出版という形ではないかと思われます。オンライン販売のみという形ですし、部数限定ではないかと推測しています。

今後刷る予定があるのかわかりませんし、お金に余裕があればですが、読みたい人は早目に確保した方がよろしいかなと思います。

メルカリに出ていた(る)ものに関して

メルカリに繁体字版殺破狼を出していたのは私ではないし、知人でもありません。パッケージ写真を見るに本物かなーと思いました。

値段として、その時の為替レートにもよりますが、約8000円で日本に輸入できることを考えますと、10%のメルカリ手数料、宅急便60サイズのメルカリ便での送料が700円を考えると、1万円でギリギリペイするところです。梱包の手間、発送の手間を考えると、1.5万円は高すぎるけれど、1.2万円くらいなら許容範囲ではなかろうかと思います。

で、買うかどうかですが、出品者さんを見極めて…としか申し上げようがないかな。

簡体字版「杀破狼」について。

簡体字版は、湖南文艺出版社から出版されています。紀伊国屋さんあたりでは、3冊セットで9000円くらいで扱われている模様です。

私は地方在住で、近くに大型書店がないし、買いに行くのもこのご時世では避けたいので、メルカリで購入しました。じっくり出品者さんを見定めて購入しました。値段は7000円強です。実費が国内への送料含めて4000円強と踏むと、10%の手数料と、国内の送料(メルカリ便)に、手間賃を計算すると、妥当ではないかと思います。

京东

相互さんで、京东で購入された方がおられるので、お店のリンクをいただきました。

item.jd.com

 

112人民元に、72人民元の送料がかかり、購入から13日で届いたんだそうです。配送は佐川。

厳重に梱包してあっても、化粧箱の一部に破損があったということですが、中国から届くんだから、そりゃ仕方ないかなとは思いますね。

注意点としては、やはり中国語が読める必要があるようです。

  1. ヘルプページのスクショが古い
  2. アプリ必須

とのことです。

こちらもまた、これ以上のことは有償・無償を問わずに、垂水にはサポート不可です。そもそも、垂水は中国の店舗からネット通販したことがありません。

面倒なら、紀伊国屋さんが一つ。そして近くに店舗がない人は、メルカリ・ラクマだ。

フリマアプリで買う目安として、値付けが一つあるけれど、これは紀伊国屋さんの9000円を超えないくらいの価格帯でしょうか。ただ、本物を中国から輸入すると4000円はかかるので、新品で売っているのに5000円を切っているような値段はおかしいと踏んだ方が良さそうです。

だっだーんと輸入してフリマアプリに…だーっと流すかな…中国の出版事情では何度もなんども増刷がかかるわけではないと思ってるので、輸入できるうちが花だよ。

 

自主ゼミ外書講読中国語 わらび式 殺破狼 用語集

殺破狼はスチームパンクなので、しゃぽ界でしか使わない単語がいくつかあります。

日本語で使わない、ほとんど使わない字をそのままにするのも気持ち悪くて、変えたものもたくさんあります。

わらび式しゃぽ界の用語集を作った方が、後々(特に私が)何かと楽かなと思ったので、中盤を過ぎつつあるけれど今からまとめます。

読み方を日本語読みで統一するべきかと頭を抱えている理由

最後まで至って、読み仮名を振るときには日本語読みに統一するのが良いのかもしれないと思いました。

理由は、「魔道祖師」で「温狗」という温氏への罵り言葉に「ウェンく」とふりがなが振ってあったことです。翻訳チーム、出版社さんで散々議論なさった結果でしょうけれど、垂水はなんか嫌だなあと感じました。「魔道祖師」は、言わずと知れた「陳情令」の原作です。

 

 

 

魔道祖師では、人名+武器+地名がピンイン風読み仮名でした。

今回の殺破狼では人命のみをピンイン風読み仮名にしようかなと考えています。

陳姑娘。姑娘は「くーにゃん」って中国語を学んでいない日本人でも読めると思うのですが。Miss Chenだから「陳嬢」に変えるのも妙です。「陳家のお嬢さん」「陳氏のお嬢さん」は長すぎます。略して「お嬢さん」?と頭を抱えました。

重大で切実な問題として、そのまま「こじょう」にすると、あの陳姑娘がちょっと気の毒な感じになってしまいます。CPの大恩人の陳姑娘を笑い者にするわけにはいきません。

ただ、曹娘子は「娘子」を中国語を学んでいない人が「にゃんず」と読めるかというと問題があります。なのでこの人は「そうにゃんず」ではなくて「そう・じょうし」。

になると、陳姑娘が「ちん・くーにゃん」なのが浮きます。

次に、十八部落の人たちの名前が、中国語の意味ではなくて、音でとってるのではないでしょうか。「ひめこ」を名乗ったら「卑弥呼」になったという説があるけれど、そんな感じで。

ということで、第二原稿では人名のみをピンイン風読み仮名にしようかと考えました。

用語集

容赦無くネタバレをしているので、読書中の方はできたら回れ右。一度読み終わった人が読み直すときのお供にどうぞ。

これが完璧なものだとは思っていないので、ご意見ご感想大歓迎です。

個人利用でしたら、スクショ保存、コピー保存可能。ただし、SNS含めてスクショでの転載一切不可。一行二行程度をコピーして、リンクでどうぞ。

理由は、自主ゼミ外書講読中国語(殺破狼)が終わるまで手を加え続けるから。また、公式に日本語での翻訳が出るときには下げたほうがいいだろうとも思います。

また、わらび式なので日本語版が出たときには訳語が違う可能性があるのがまた一つ。さらにもう一つ、容赦無くネタバレしているから。

上にも書いているが、Wikiその他への転載不可。各SNSにてスクショでの転載をしている人を見かけたら、アカウントを運営に著作権侵害で報告してください。

ピンインは、書虫さんを使いました

https://www.frelax.com/sc/service/pinyin/

 

原文 (ピンイン) 日本語読みもしくは訳語。

説明

組織関係

玄铁营 (xuán tiě yíng ) 玄鉄大隊 げんてつだいたい

玄鉄(黒い鉄)を使った甲(=鎧)を使う、梁最強の軍団。玄鷹、玄甲、玄騎の三種がいる。顧昀本人は大抵玄騎隊と行動を共にし、斥候に玄鷹がいる。しかし、都の包囲のときなど重要な局面では重甲(玄甲・鋼甲)をつけて玄甲隊と共に戦う。沈易は比較的よく顧昀と行動を共にするが、命じられて別行動を取ることもある。

营は「営」。駐屯地・駐留地を示すこともある。日本語で「大本営」の営。ところが、この营は大隊そのものを示すこともできる。日本語の「営」は「いとなむ」と、「兵営」はあるのだが、大隊そのものを意味しないのではないかと思う。中国語では、部隊がいるところが駐留地という感覚ではないかと考える。なので、安定侯の率いる「玄铁营」に関しては、「玄鉄大隊」と訳した。

駐屯地・駐留地を示すときには「基地」が良いかと思う。玄鉄基地…(また頭を抱えている)

 

玄铁三部 (xuán tiě sān bù)玄鉄三部隊

玄鉄大隊は三軍種展開するので、「玄鉄三部」とも呼ばれる。日本語にするときにはやはり「玄鉄三部隊」の方が適切であろうかと。

 

北大营 (běi dà yíng) 北方大隊 

北の大隊とやったこともあるが、やはり北方大隊の方がかっこいい気がする。いや、北部大隊か。しかし北部大隊だと、領土の中で北部のような気がする。いや北方でもか…いずれにせよ、都の北にある、都の防衛を司る部隊。

今の所「北部大隊」、場所を示すときには「北部基地」。

 

 (shuài) 帥

大帅で軍の最高司令官だろうけれど、大帥とは日本語ではあまり言わないのではないかということで。「元帥」にしている。主帥(その部隊の長)はそのまま残している。

もちろん、大帅とは顧昀のこと。

 

灵枢院 (líng shū yuàn) 霊枢院 れいすういん

かつて沈易が、そして今は葛晨が属する組織。紫流金を使った物を作り出す組織。

 

护国寺 (hù guó sì) 護国寺 ごこくじ

梁は仏教を厚く信仰する。おそらく一番格式の高い寺。

 

军机处 (jūn jī chù) 軍機処 ぐんきしょ

史実では、清朝雍正帝時代に作られた軍事・政治の最高諮問機関。「軍機所」と訳したところがあるが、どうやら軍機処の方が良いっぽい。wiki情報

軍機処 - Wikipedia

 

御史台 (yù shǐ tái) 御史台 ぎょしだい

史実では、監察事務に当たった部署。

 

督察院 (dū chá yuàn)  督察院 ていさついん

史実では、明・清時代に刑部の下にあった。監察を担当する部署。しゃぽ界には、監察を担当する部署が二つあったということ。

 

翰林 (hàn lín) はんりん

翰は筆のこと。筆の林、つまり文人、学者。唐では翰林院で詔書を起草させた。明清では科挙に合格し、翰林院に属した人を翰林と呼んだという。しゃぽ界は貴族政治であると同時に、多少貧乏な家庭に生まれても、科挙を合格すれば官僚として朝廷に参画できるようになるという社会。

しゃぽ界では、翰林院に属しなくても、名門出身ではなくて科挙に合格した文人を翰林と呼ぶのかどうか、どこかに書いてあったような気がする。沈易ももともと科挙に合格した翰林だったが、奇人なので霊枢院に入った。

翰林とは - コトバンク

 

钦天监 qīn tiān jiān  チンテンジェン 欽天監 きんてんかん

明・清朝天文台・気象台。沈易の父がそこにいた。やはり、本作は明以降です。

欽天監とは - コトバンク

 

京兆尹 (jīng zhào yǐn) ジンチャオイン けいちょうい

この場合は都のある郡の長官

 

临渊阁 ( lín yuān gé) リンユアングー 臨淵閣 りんえんかく

しゃぽ界における「中原」に危機が迫ったときに立ち上がる謎の組織。少年時代に長庚はこの組織と親しみ、長じてその組織を見破って手中に収めた。

 

运河办 (yùnhé bàn)運河事務所

運河沿いの工場を管理する組織。

紫流金関係

紫流金(zǐ liú jīn)ズーリウジン しりゅうきん 

しゃぽ界のエネルギー源。別名「大地の心」。可燃性の砂?決して石油ではなく、爽やかな香りがするらしい。

 

长臂师 (zhǎng bì shī)ジャンビーシ 長臂師 ちょうひし

紫流金を使った物(ロボットや武器)を作ったり修理したりする人。しゃぽ界では必須だがあまり身分が高くない。登場時の沈易という人は何でもできる人で文人で家庭教師もするし馬のお産を扱ったりする上に、機械いじりが大好きな変人として登場する。

「長臂」は手が長いという意味。長臂人という中国の伝説があるのだが、日本では「手長足長」の手長。手長師でいいのかと思ったのだが、いまいち理解できないので、そのまま簡体字を直しただけ。

 

金匣子(jīn xiá zi)ジンシアズ 金の箱 きんのはこ

匣子は蓋つき小箱のこと。匣の字は日本語ではあまり使わないので「金の箱」とした。

紫流金を燃やす内燃機関だと思う。紫流金で動かすものには全てこれがついている。強い衝撃を与えると爆発する。最大の弱点でもあるので、自爆装置化して特攻したり、敵の金の箱に衝撃を与えて敵を爆殺する。

 

傀儡 (kuǐ lěi)クイレイ くぐつ

ロボットのこと。家事をする傀儡もいれば、子どもが武芸を稽古する傀儡もいるし、耕作を行う傀儡もいる。もちろん、戦闘用の傀儡も存在する。動力源はもちろん紫流金。

 

耕种傀儡 (gēng zhòng kuǐ lěi) ガンジョンクイレイ 耕作用傀儡

江南で展開した耕作用の傀儡。昼夜を問わずに働き、米価が大幅に下がった。当初は良いようにも思えたのだが、労働者がいらなくなってしまい…

 

木鸟 (mù niǎo)ムーニャオ 木の鳥 きのとり

臨淵閣で使う、通信用木の鳥。それぞれが別の磁石を持っていて、どこからでもそこに飛んでいく設計。

 

铜吼(tóng hǒu) トンホウ 銅の咆哮

銅製のメガホン。ラッパかと思ったらそういうわけでもなく、いろんな大きさのものがある模様。多分紫流金も使わないと思います。

武器

巨鸢 (jù yuān)ジューユアン 巨凧 きょだこ

鸢は、凧揚げの凧のこと。しゃぽ界では巨大な空飛ぶ飛行船。繁体字版の巻一の表紙に描かれている龍のついたあれ。しゃぽはスチームパンクだけど、あくまでも中華架空戦史です。

火翅 (huǒ chì) ホォチー 火の羽(一部「火の翼」しているところがあるが、多分誤訳)

鸢のエンジン。何枚も何枚もあって、大きな翼を形成する。

 

红头鸢(hóng tóu yuān) ホントウユアン 紅凧 紅の凧 べにだこ べにのたこ

巨鸢よりも小ぶりで、紅色でとても美しいらしい。こちらは飛行船だけど凧らしく、大晦日に揚げて地上と結ばれてゆらゆらしてる。やっぱり凧としか言いようがない。

 

大雕(dà diāo) ダーディアオ 大鷲 おおわし

直訳すると大きな鷲。背中にジェットエンジンのようなものをつけるのが「鷹」。「鳶」が飛行船。ただし中国語の「鳶」は凧なんだよ。鷲が鷹のエンジンをつけた飛行船ということ。一貫してるんですよね。

 

鹰甲(yīng jiǎ) インジア 鷹甲 ようこう

これを着て空を飛ぶ。玄鉄三部の一つ、「玄鷹」の使う鎧は、真っ黒である。

 

裘甲(qiú jiǎ)・轻甲(qīng jiǎ)轻裘甲 原文に従って裘甲・軽甲・軽裘甲

同じものを指していると考えている。軽甲というのは、騎兵用にの軽い鎧セット。裘というのは、毛皮のこと。つまり、玄鉄大隊の玄騎は玄鉄と毛皮を組み合わせた鎧をつけている。ちなみに顧昀は基本年中これをつけている。

 

面罩(miàn zhào )メンジャオ 面 めん

「甲」の一部分。顔を覆うもの。

「罩」という字は日本語にないわけではなく、「かご」「とう」と読み、竹で編んだ、魚を取ったりするかごを意味する。中国語では覆いのこと。現在では(病院で使うような)マスクにも使う。本来は竹で編んで覆いにも小さな籠にもなるようなもののことではなかろうかを連想している。しかし、日本語では一般的ではない。日本の鎧にも、顔を覆う「面(めん)」がある。あれのこと。

头盔(tóu kuī)トウクイ 兜

 

钢甲(gāng jiǎ)ガンジア 鋼甲 こうこう

重甲のみならず、鋼鉄製の鎧全体のことを指していることをようやく理解した。

そのため、前半には「重甲」に変えているところがあると思う。

 

袖中丝 (xiù zhōng sī) シウジョンシー 袖の中の絹

暗器。羽根つきの刃物を飛ばす。

 

(jiāo)ジャオ こう

しゃぽ界の軍種の一つ。蛟(みずち)という通り、軍艦。

 

水怪(shuǐ guài)シュイグァイ 水の妖怪

水怪というと、水死した…を連想しませんか?私はします。というわけで、水の妖怪にしておいた。

西洋海軍(しゃぽでは水軍と書く)の…です。

 

大海怪 (dà hǎi guài ) 大がつくこともあればつかないこともある。海の妖怪

これもまた、アレです。

 

长蛟 (cháng jiāo)長いらしいよ。

 

钢甲火机 

火机 蒸気式武器

 

短炮(duǎn pào)ドゥアンパオ 短砲 短銃 短筒

鉄砲だと理解していたのですが、大砲のちっちゃい版でしょうか。まだよく理解できていないのもあって表記が揺れてます…

 

白虹箭 (bái hóng jiàn)バイホンジェン はくげいせん(「白い虹」としているところもある)

「白虹日を貫けり」(「戦国策」より。臣下が謀反を起こすこと)の「白虹」の通り、武器の暗喩とも使われる。おそらくかなり不吉な存在。

白虹鉄箭は大型の矢。弓の方ではないことに要注意。

 

铁箭 (tiě jiàn) ティエジャン  鉄の矢。私は弓道経験者なのだけど、多分現代日本弓道で使うあの矢とはまたちょっと違うのではないかと思う。

 

铁骑 (tiě qí)ティエチー 鉄騎 鉄騎

鉄騎兵のこと。玄鉄三部の一つ玄騎は、黒い鎧をつけた鉄騎隊。

 

割风刃 (gē fēng rèn) グーフェンレン 割風刃

刃が出ていないと棍棒のような形状をしている。突き出したりひっこめたりして中に仕込んだ回転刃を操る。玄鉄大隊の実に凶悪な武器。

 

地理など

北蛮 (běi mán)北方の騎馬民族のこと

ほら、中国は、自分たち以外は「野蛮」な連中だと言うから。

そのほか、洋毛とか、日本語で出版するときにはかなり気を使うだろうなあと言う言葉遣いのオンパレードですが、私訳だからそのまんま残す。現代中国人のその意識もまた、読み取るべき部分であろうかと。

 

番邦(fān bāng)ファンバン 番邦

これも上に同じ。西域よりも西方の国々をざっくりとまとめているのではないか。

特に、西洋のことを指しているように思われる。

 

东瀛 (dōng yíng) ドンイン 東瀛

東の海に、手のひらサイズの列島があるんだそうな。なんか湾曲した刀を使うし、体の小さくてやたらと柔らかくて、刃物を投げてくるんだそうですよ。

 

关外 (Guānwài)関外

辞書的には「山海関以東の地、嘉峪関以西の地」。西域で使われる場合には(嘉峪関そのものが舞台になるようなシーンもある)この通りであろうと思う。

ところが、北方にある雁回に出てくるときは、「城門の外」であろうかと思う。

 

人名

加莱荧惑 (jiā lái yíng huò ) 加莱熒惑 

熒惑とは、火星のこと。

胡格尔 (hú gé ěr)フゲアー (エフゲニー?)

建物

起鸢楼 (qǐ yuān lóu) チーユアンロウ 凧揚楼

红头鸢の基地であり…

 

摘星台(zhāi xīng tái) チャイシンタイ 摘星台

云梦大观 (yún mèng dà guān) 雲夢大観

 

祈明坛(qí míng tán)祈明壇

禁飞网

 

飞檐阁 (fēi yán gé) フェイヤンガー 飛檐閣 ひえんかく

檐(のき)のこと。揚州にある。

そのほか

西北一枝花 (xī běi yī zhī huā) シーベイイーチーホァ 北西の花 ほくせいのはな

大抵西域方面に駐留している顧昀が自分の美貌を鼻にかけて自称する言葉。「北西の一輪の花」というか、「北西一の花」だが、北西随一としたくなるし、「北西の花」の方がいいかな。日本語の北西を中国では西北と言う。日本語では東西が先に来るのは、西南戦争、東北地方(東北大学など、東北地方のXX)のような固有名詞のように思う。方角を指す場合には南北が先に来るので「北西」としている。固有名詞だし、肝心な単語の一つなので、そのまま「西北一枝花」でもいいような気がしなくはない。

 

よく間違えるのでメモ。

駐留=(軍隊が)ずっと止まること

駐屯=(軍隊が一時期、または時間を定めないで、ある土地にとどまること

進駐=(軍隊が)外国に展開

https://dictionary.goo.ne.jp/thsrs/16090/meaning/m0u/

晋江文学城に発表された作品は、さっさと買ってすぐさま確保しようじゃないか。2022年前期は「七爺」やる予定。

2021年9月末に、P大の「殺破狼」や「天涯客」がまるっと鎖(=ロックがかかって読めない状態)になりました。買ってなかったんです、天涯客。

2021年10月末には、墨香銅臭先生の「天官賜福」、肉包不吃肉先生の「二哈和他的白猫師尊」もまるっと鎖化しました。どれも人気作品かつ映像化(含アニメ化)が進んでるものです。しかし「山河令」として大ヒットした「天涯客」は別ですが。撮影が難航する天官に、撮影終了したけれど公開のめどが立たない殺破狼に二哈ではありますが。

これがしゃぽ。PC版では理由が読めました。

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買ってダウンロードしていれば読める

大絶叫ではあるけれど、道が残ってました。スクショを撮ってるのは、全て2021年10月29日。

無料版でも、もう読めない人がたくさんいるのに、読ませるのは良くないなということで、消したけど天官。

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私の場合は、iPhoneです。

  1. 鎖化前に購入済みであること
  2. 購入後にダウンロードしていること

の二つを満たす場合には、

 3.   オフライン状態(=ネットに接続しない状態)

に読むことができます。

しかしながら、(例えば)殺破狼はまるっと全体が鎖化するまえに、130章など一部だけ鎖になった部分があり、それは読めませんでした。

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同時に、iPhoneで無料部分は読んでいたけれど、購入していない(購入しないと無料部分もダウンロードもできない)天涯客は読めません。

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買ったときに、自動ダウンロードしますか?というところがあるので、iPhoneで買ってれば自動ダウンロードしてる方は多いと思います。

ページをいちいちくらないとダメかと思ったけど、どうもタップしたところが良くなかったようで、ちゃんと飛びました。

しかし、この道も閉ざされる可能性はないわけじゃないので、スクショしておけ

しかし、このオフラインで読める道も閉ざされる可能性はあります。

なので、購入したらスクショその他ですぐさま確保しておきましょう。さっさと確保しよう。

2022年前期の自主ゼミは「七爺」。後期は「笑傲江湖」の予定。

計算したのですが、頑張ったら2022年3月末に殺破狼を終われるのではないかと思います。

なので、2022年前期の自主ゼミは「七爺」。本当は古典の金庸をやりたかったんだけどな。

先に予告するから、参加希望者は先に買って確保しておいてね!

天涯客の鎖が解ければ、さっさとこれも買って確保しておこう。

様々な理由でできなかったら謝る!

2022年の後期は、天涯客の鎖が解けていれば、天涯客。解けていなければ、金庸やるよ。Kindleに出てるので買えます。

岡崎由美先生の翻訳で、全て徳間が出しているのですが、絶版ですから。この中華BLの流れに乗って再販して欲しい!

だからやろうよ、金庸

雪山飛狐」が短いと思ったけど、こうなったら、私が好きなやつやるよ。

みんな大好きだよね、東方不敗。ということで、「笑傲江湖」です。天涯客は読んでないのでノーコメントしておくけれど、ドラマの山河令は笑傲江湖2.0だと思うの。 天涯客は読み損ねましたが、東方不敗令狐冲の二次小説が元にないかなあって思うほど、温客行が、任盈盈を中に回収した東方不敗に見えます。白衣パイセンに教えてもらったあれの正体は、葵花宝典2.0ではないかという妄想をしてます。✂️✂️✂️

 

 

 

 

 

 

殺破狼の名前と字について

結構きれいなので、整理しよう。

字(あざな)問題

姓(せい)・諱(いみな)・字(あざな)があるのだが、よくわからない人にちょっと例を出して解説しておこう。

日本で字までよく出てくるのは三国志なので、三国志で出そう。

諸葛亮であれば、姓が「諸葛」、諱が「亮」、字が「孔明」。

 

姓はFamily Name、諱はFirst Name、字名は通称です。普通は諱を直接呼ばないから、字名で呼ぶわけです。

諸葛亮孔明と書く人がいるのだが、蜀書には「諸葛亮、字は孔明」で始まります。現代日本語で書くなら諸葛亮孔明)とかさ。諸葛亮諸葛孔明は良いのだ。

司馬懿は姓が「司馬」、諱が「懿」字名が「仲達」。こっちも司馬懿か司馬仲達にして欲しい。

劉備は字が玄徳。だからこれも「劉備玄徳」と呼びかけたりするのはかなり変だと思う。

曹操は字が孟徳。

袁紹は字が本初。

孫権は字が仲謀。

呂布は字が奉先。

曹丕は字が子恒。

孫権曹丕のBLを書くときには、「孫仲謀が曹丕にライチを送ったのだが」と書くと、地の文に字呼びの人と諱呼びの人があるから不自然です。

諱と字が呼応することがある

 

ところで、諸葛亮が典型ですが、諱と字が結構呼応していることがあります。

諸葛亮から行きましょう。字名は孔明

亮に明で眩しい!

兄の諸葛瑾もすごいですよ。字は「子瑜」。瑾瑜って完璧な玉(ぎょく)のことですから。

そうすると、東呉の周瑜は字が公瑾。ほら、美男子が出てきました。諸葛瑾も美男子だったことでしょう。

東呉の人たちはわかりやすいことがあるよ。

呼応しないように見える人もいます。ところが呉の陸遜は字が伯言。ところがこの人は元の名が「陸議」と言われていて、元の名前とは呼応しています。東呉に加わるときに「陸遜」に変えたようですよ。ほら「孫」に踏み敷かれています。知らんけど。

正反対の人もいます。

呂蒙は子明で、暗いと明るいが正反対の意味で組み合わせてあります。

連想ゲーム的な人もいます。

 

字名で兄弟の順番まがわかる。

孫家の四兄弟も

長男の孫策は伯符。

次男の孫権は仲謀。

三男の孫翊が叔弼。

四男の孫匡が季佐

それぞれの諱と字が呼応しているかは、調べてみておくれ。一番上は「策」を「符」に書いてそうだし、次男は権謀術数してそうですし。

この兄弟の字についている「伯仲叔季」は兄弟の順番を示します。

他のおうちでもこういうことはあって、司馬仲達と聞けば次男なのがそれだけでわかります。あそこは、八人いますが、全員「達」で、諱とダイレクトに呼応させているわけではありません。

陸伯言なら長男だろうとわかります。

曹家の息子たちは、字が「子X」なので兄弟の順番はわからないので、そこのところは親の方針などがあるのでしょう。

殺破狼では

ようやく本題だ。殺破狼ではさらに「小名」があって、これは幼名です。曹操ならって書きかけたけど、そろそろ三国志から離れよう。

主人公CPを整理しますとこうなります。

顧昀は、姓が「顧」、諱が「昀」、字名が「子熹」、幼名が「十六」「昀」の意味は太陽の光。「熹」は夜明け。なので顧昀の諱と字は呼応しています。

長庚は、雁回にいた頃の姓はおそらく「徐」。それが都に戻り「李」、諱が「旻」。字名は不明。幼名が「長庚」。おそらくそのまま字も「長庚」だったのかもしれません。ずっと地の文で長庚が多いです。

オープニングの箸とお椀の会話に出てくるように「長庚」は宵の明星のことです。諱の「旻」は「秋、秋の空、空」。秋に生まれたのかなと推測できます。

だからこのCPは夜明けの陽の光と秋の宵の明星のCPです。

P大!本当に綺麗に決めましたねえ。

 

他にも、

沈易は、姓が「沈」、諱が「易」、字が「季平」。「易」は移り変わる、「平」が安らかであることなので、正反対の意味です。呂蒙型だ。

 

 

 

殺破狼の設定考察

私訳しながらいくつか考えたので、妄想にお付き合いいただきたい。

もちろん、フィクションに対する考察なので、自由であろうと思う。

なお、🐙ちゃんが何かわかるところまで行ってない人は、大いにネタバレされるので要注意。🐙ちゃんまで行けばいいかな。 

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16

年齢について

長庚は地の文では「14歳に満たない」という文があるが、のちに江南で了然が「あの頃12歳でしたよね?」と思うシーンがある。

都での初めての正月で14歳になった、ということなので、雁回を出るときは13歳。ただ、それはおそらく数えではなかろうかと思うので、そうすると雁回を出るときは満12歳かもしれない。狼のところが10歳くらいなので、やはり12歳かもしれない。

曹娘子・葛胖小コンビは長庚よりも2歳下なので、10歳くらい

顧昀19歳から20歳くらい。経歴を考えると、15歳の初陣、17歳で西域。18歳で北疆で長庚を救って、2年後(正確には真冬に救って真夏の雁回から始まるので1年半くらいか?)なので、20歳。くらいか。

沈易は、雁回では、二人は兄と弟を名乗り、沈易が兄ということになっていた。

顧昀と沈易の関係は、顧昀の父親の母の縁の、友達兼お守り。貧乏を絵に描いたような顔をしているが、一応名門という設定。巻二で沈家のことがわかるが、没落したというよりも、顧家が顧慎の代に格がぐんと上がった模様。年齢が近く、本作ではそれなりに世代がどうのという話をするけれど、二人はかなり対等なので、世代も同じではないかと思われる。例の祖父にあたる人が、顧昀の父方の祖母の兄弟ではないかと思われる。つまり顧昀のまた従兄弟に当たるのではなかろうかと思われる。下剤のいたずらの件もあるので、顧昀と5つも変わらなさそう。せいぜい2つ?

了然・陳軽絮も年齢不詳だが、番外編で、了然が14歳で陳軽絮がほぼ同い年。顧昀の初陣なので15歳。(了然と陳軽絮はひょっとすると世間を知らない男の子と世間慣れした女の子なので、正確には了然14歳、陳軽絮13歳かもしれない。)

番外編では

了然・陳軽絮 14歳くらい。

顧昀 15歳

 

ということで、

序段階では

曹娘子・葛胖小 10歳ごろ

長庚 12歳−13歳ごろ

(出てこないが)了然・陳軽絮19歳ごろ

顧昀 20歳ごろ

沈易 22歳ごろ

 

巻一が終了した段階で

曹娘子・葛胖小13歳くらい

長庚15歳(のちに江南で〜の頃は15歳だったという発言があるので決め打ち)

了然・陳軽絮 23歳

顧昀24歳前後

沈易26前後

 

巻二の始まった段階では、巻一の終わりから四年後である。

曹娘子・葛胖小17歳前後

長庚19歳

了然・陳軽絮26歳前後

顧昀27歳くらい

沈易30前後か。

 

巻三・巻四は巻二の終わりからそのまま続いている。

顧昀と長庚の血縁関係

顧昀が長庚が自分と距離を置こうとするのにショックを受けて「長庚は実子ではない上にそもそも血が繋がらない」と頭を抱えているが、この二人は全く血が繋がっていないわけではない。

顧昀は初代皇帝(武帝)の唯一の外孫。

長庚は二代目皇帝(元和帝)の子。

初代は娘夫婦に継がせず、傍流から迎え、二代目は公主のことを叔母と呼び、顧昀を弟と呼んだ。なので顧昀と二代目は世代が同じという設定と考えられる。

元和帝は武帝の兄弟もしくは父方の従兄弟の孫にあたると考えた方が良さそうだ。

元和帝と顧昀の年齢差については、長公主が武帝の最晩年の子の設定なら通るだろう。

梁の設定について

「大梁」と本文で書かれているが、これは良くあることで、意味は「我らが偉大なる」、みたいな。なので王朝名としては「梁」。

今でもお隣には大統領制でありながら「大」をつける国もげふんげふん、ほら、Great Britainと呼ばれる島もあるじゃないですか、ほら。

国史上、「梁」という国はいくつかあるが、いずれも中国を統一するに至らなかった。もちろん本作はフィクションであるが、設定を考えるにあたって多少手がかりはある。

都はどこか

春節の頃に雪が降るような地域である。

都から遥か遠くの江南へ行き、「南京」で、という設定なので、江南に属する南京は候補から外れる。統一王朝が置いた都を考えると、北京(元・明・清)・開封北宋)・長安(秦・前漢・隋・唐)・洛陽(後漢)あたりが候補に上がろうか。

巻二では、「東都」という言葉が出る。

東都があるなら西都がある可能性がある。実際に西の長安に対する、東の洛陽が「東都」。

しかし、長安に都があるならば、西域はあんなに遠くないのではないか、比較的近いのではないかと思われるのだが。ただ、楼蘭までいくと、長安はそれなりに距離がある。

東京開封府(北宋)では開封を「東」と呼んでいるので、この東都とは開封のことかもしれない。

巻三で都は北京決め打ち

巻三で「大沽港が襲われるのではないか」という発言がある。ここでおそらく北京であろうと予測がつく。大沽港とは天津市にある港である。なので、おそらく北京で確定。

安城の戦闘があるが、元朝の東安州、明朝の東安県が北京近郊にあるようなので、やはり北京で決め打ち。

东安县 (洪武) - 维基百科,自由的百科全书

 

また、都の人たちのセリフでよくわからないものを百度で引くと、東北方言ということが結構あって、やっぱり都は北方にある。北方にあった都は、やはり北京と踏んでいる。

仏教

この国は仏教が盛んという設定で、その前の王朝は道教が盛んだったという設定になっている。道教が盛んなのは、隋唐から宋にかけて。元になると、チベット仏教への傾倒を弱体化の一つにあげるのが、私の頃の大学入試レベルの世界史の知識だった。

南北朝時代南朝(つまり、隋による統一前。小野妹子が遣隋使として隋に行くのが西暦600年と思い出していただければ、西暦500年代あたりと見当がつく)の梁は、河上麻由子「古代日中関係史-倭の五王から遣唐使以降まで」2019年中公新書によると仏教が盛んだった模様である。宋・梁から朝鮮半島、日本へと仏教が伝来していく模様が描かれていた。

手のひらサイズの東瀛列島の人々は梁の影響を受けて仏教を厚く信仰するのだという表現が殺破狼の本文中にある。南朝の「梁」が本作の梁のモデルの一つと考えても良いと考えた。

 結構面白いのでオススメである。↓

 

時代は?明以前ではなさそう? 

南朝の「梁」の都は建康、つまり今日の南京である。 本作では江南の「南京」という都市名が出るが、現在の南京が南京と呼ばれるようになったのは、明朝である。かの地を首都として明は成立し、のちに明が北京に遷都する。つまり、北の都の北京、南の都の南京というわけである。 

もう一つのヒントは、元号が皇帝の諡号(というか、通称?)になっていることである。元和帝は元和年間の皇帝という意味ではない模様だ。

一世一元を定めたのは明の朱元璋で、清もこれに倣った。

この二つから、時代設定としては、明朝以前ではなさそうである。

また、包囲戦のところで長庚が了然に「前の王朝は宦官に力を与えすぎ」と話している。中国の王朝で宦官といえば明。

これを裏打ちするのが、東瀛人である。彼らは湾曲した刀を使い、忍者みたいな連中(回転手裏剣を使う)も出てくる。手のひらサイズの東瀛列島に住んでいるらしく、明らかに日本人がモデル。 

さて明末清初の、内憂外患を思い出して欲しいが、明にとっての外患の一つが倭寇だった。私が高校生の頃には、倭寇は前半は日本人メインで一部高麗人だったが、後半になると日本人は秀吉の海賊禁止令で消え、海禁に抵抗して東南アジアに拠点を移した中国人などの混成だったと学んだ。 

1644年に李自成が明を滅ぼし、李自成は満州族の清に滅ぼされる。その動乱期を中原人(=漢民族)が北方から女真族満州族)の侵入を許さずに、新たな統一王朝として成立させたのが、この「梁」という設定の可能性がある。

そうすると、天狼族=女真族で、この扱いに困っている設定が通じる。ただ、天狼族はテングリを信仰していて、女真族ツングース系。ちょっと違うのかな?と思うがそこはフィクションですし。

また、史上最もキリスト教徒を迫害したのは、ローマ帝国だが、二番目は日本じゃなかったっけ…秀吉の1587年のバテレン追放令から家光時代の島原の乱あたりまで。(なお、秀忠時代の長崎の大殉教は、元和の大殉教…お、おう)「幕府」と教皇の関係を考えると、あれが秀吉から徳川幕府の時代というのは微妙。と思うが、そこはフィクションですし。

朝鮮出兵(1592年、1597年)の頃に、教皇がそんなに迫害しないでくれ、その代わりに一緒に明を攻めに行こう、楼蘭計画でこういうことをしていて…と交渉した設定…。

いやいや、そこはフィクションですし。

明の外患に戻ると、もう一つの明の外患は北方の騎馬民族である。北西側のオイラト、北東側のタタル。どちらもモンゴル系である。なので、天狼族にはピッタリである。

オイラトが、明の正統帝(英宗)を拉致(皇帝が野戦で敵に捕まった、始めで最後の例)した土木の変が1449年。

英宗が拉致されたあたりからの、別の世界線を想定してみるとそれなりに成立するような気がする。

1449年あたりから混沌を迎え、初代皇帝が梁を成立させたのが1500年前後と考えてみよう。欧州では大航海時代が始まる。

ヨーロッパ・キリスト教

1492年コロンブスアメリカ到達。ヨーロッパは大航海時代を迎える。

1500年代には海路沿いにヨーロッパ人が中国に渡り始める。

1542年に日本に鉄砲伝来(種子島)。

1549年フランシスコ・ザビエル日本に上陸。

1601年マテオ・リッチ 北京入場

おお??あの「教皇」は??

日本

1467年から応仁の乱

1500年ごろは、大内義隆の最盛期。

1542年に日本に鉄砲伝来(種子島)。

1560年に桶狭間の戦い

1587年バテレン追放令

1592年文禄の役、1597年慶長の役朝鮮出兵

1600年関ヶ原の戦い

1637年島原の乱

ということで。キリスト教徒とも縁が深いし、最後のあの人は長生きした世界線大内義隆か、その子かなあと思うのだけど。大内義隆なら、一緒に明を攻めに行こうぜと言われたら…行く??

大内義隆陶隆房を返り討ちにし、山口遷都計画が成功した、もしくは足利将軍を排して将軍になりましたという世界線かもしれない…日明貿易やってたし。(いや、あいつ性格的に無理じゃないかな…)

晋江文学城での書籍購入方法&読み方

私はiPhoneのアプリから購入しています。

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殺破狼なら、「作者」でpriestと書けば出てきます。

簡体字繁体字も、iPhoneで中国語を手書きできるのはご存知ですか?

ここで気づいたのですが、簡体字って手書きできるのご存知ですか?当たり前のように使ってるので、すっかり忘れていたのですが。

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フォントが崩れてるような気がするなら、iPhoneの表示を簡体字に変えて読もう

はてな簡体字を書くと、デフォルトではフォントが崩れに崩れて気持ち悪いのですが、晋江文学城でも崩れてるように見えませんか。中国人は、よくこんなに気持ちの悪いものをよく読んでるなって思ったことがありませんか?

こんな感じで、一文の中でがったんがったんがったんがったんして気持ち悪く見えませんか?

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簡体字

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これは、フォントが日本語だからです。

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滑らかな表記

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2021年9月30日に、よりによって殺破狼がそうなりました。

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