殺破狼における、武侠要素についての独自研究
殺破狼の面白さは、
の見事な融合なのだけど、武侠について。
金庸の気配があると思うのですが、どうでしょう?
もちろん、ここからは盛大にネタバレしてます。
解釈違いもありうる。異論は認めるが受け付けぬ。地雷だったら抱きしめて吹き飛びな!といういつもの独自研究です。
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臨淵閣という、集団について
長庚は臨淵閣の木牌を(ほぼ不正に)入手することによって、臨淵閣の人々の無条件の協力を得ます。木牌を得るという決意するところが、長庚の李豊への殺意が生まれたところだと私は考えています。
隆安帝についての独自研究、のはずが、狂犬の殺意について - 垂水わらびの走火入魔
狂犬ちゃんは、本当に、自分のことを子犬だと思い込んでるだけでなく、行動もやばい。
狂犬長庚のヤバさはさておき、この臨淵閣こそ、武侠要素だと思います。
臨淵閣
顧昀や李豊から見ると、臨淵閣は普段は静かに潜ってるのに、乱世になると表に出てくる存在です。
これは、二人とも「公(おおやけ)」の人であり「官」に属する人だからそういう認識になります。
しかし、この世界、20年もすればメインプレイヤーがほぼ全員入れ替わってるような寿命でしょうから。生きている人間の集団なのだから、いきなり何百年かに一度出てこいと言われても出てこれるわけがありません。
普段は、この人たちは、各職域などをまたいだ緩やかな協力関係にある人たちです。
端的に出てくるのが、71で木牌を誰に預けるかについて語るところです。杜財神が西洋へ行って財産を作ったときに、臨淵閣が多少は手助けしたことが伺えます。
助け合い、続くからこそ、臨淵閣は何百年に一度出てきて力を発揮することができます。
江湖
臨淵閣の属する「江湖」は「民」の世界。
現代用語ではヤーさんの世界を指すので、あんまり口にするような単語ではないと思います。
わらびちゃんの「江湖」イメージとして出てくるのは、やはり武侠小説の源流の一つであろう「水滸伝」の梁山泊の百八人です。
江湖についての面白い論文を見つけたので、こちらもどうぞ。やはり、水滸伝が出てくる。
https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900066670/jinshaken21-22.pdf
上の論文ではベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」が出てくるけど、これもまた古典。興味がある人は読んでみるといいよ。
臨淵閣の構成
私の江湖のイメージは水滸伝だし、金庸が武侠小説で描く世界も「官」の世界はあまりありません。
例外として、「鹿鼎記」がありますが、あれもまたひょんなことから宦官(ではないんだけど)になった男が活躍する話ですが、天地会とも関わりがあるし…ということで。
ところが、臨淵閣は半民・半官といったところでしょうか。
- 護国寺
- 商人
- 医者
- 将軍
- 霊枢院
の5つで構成されています。そのうち、護国寺は梁で手厚く保護された仏教寺院で、おそらく官の寺です。決して、「笑傲江湖」の少林寺のような寺ではありません。
将軍は官ですし、霊枢院もまた官吏です。
そこが、本作のオリジナリティであり、現実的なところかなと思いました。
特に、将軍。
将軍は、乱世には人を集めねばなりません。徴兵するのでしょうけれど、近代の戦争とは異なり、スチームパンク世界であっても、物理が物を言う世界ですから、荒くれ者を連れてくるのが手っ取り早そうです。
戦争が終われば、その荒くれ者たちがみな農民になるかというと、そうでもないでしょう。
匪賊化させないためには、受け皿が必要で、その受け皿の一つが、武侠もので割に出てくる鏢局。運送屋です。強盗が出てくるので、運送屋は剛の者設定が多いですよね。
現実的だなって。
キャラクターについて
そして、特に陳姑娘・曹娘子が武侠小説に出てきそうなキャラクターだと思います。
陳姑娘
みんながお世話になる陳姑娘ですが、名医設定のキャラクターは武侠モノには結構出てきます。それはみんな怪我するからなんだけど。
金庸の世界でいちばんの名医ならば、おそらく南帝こと、一燈大師(段智興)(「射鵰英雄伝」「神鵰侠侶」)。
鍼灸の「鍼」を行うので「鍼」と訳したけれど、「針」を武器にもします。
針を武器にすると言えば、東方不敗の繡花針(「笑傲江湖」)、李莫愁(「神鵰侠侶」)の冰魄銀針、小龍女の玉蜂針<を思い出します。
巫女の神殿のところで布を繰り出しますが、布と言えば小龍女の金鈴索。小龍女のものは白いリボン状のものの先に金の鈴が付いてます。
軽々とした身のこなし方は、典型的な軽身功。これは、了然和尚の軽い身のこなしもそうです。
走り方の説明が「神鵰侠侶」にあるのだけど、それを最も忠実に映像化したのは、「慶余年」の王啓年の走るところだと思います。陳姑娘も了然も多分あんな走り方をすると思います。
多分この走り方の源流は、「水滸伝」の戴宗だと思う(あの人は道士でお札を使います)。
曹春花
曹ちゃんもまた、武侠モノに出てきそうな人です。
やはり身のこなしも軽いのだけど、武侠モノに出てくるならきっと、役者さん。
金庸の作品に役者さんが出てきた記憶はないのですが。
明代に「一枝梅」という義賊もののお話があって(元の話は読んでないですが)、これを元にドラマにしたものがあります。
これが今はもう簡単に見られるものではないです。面白いんだけどな。
馬天宇が演じた「賀小梅」という京劇役者にして変装の名人というキャラがあるのですが、曹ちゃんはいつものこのときの馬天宇を連想していました。
製作会社が、YouTubeに出しています。もちろん、日本語字幕はありませんが。
隆安帝についての独自研究、のはずが、狂犬の殺意について
今回もまた、盛大にネタバレをしているので、最後まで読んだ人のみ。
解釈違いによる異論は認めるが受け付けぬ。地雷だったら、抱きしめて吹き飛びな!という独自研究です。
以下良いかい?
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前回の、元和帝についての独自研究の結果は、元和帝は顧昀の即位を最も恐れたということでした。
殺破狼の、元和帝についての独自研究。 - 垂水わらびの走火入魔
その子、隆安帝・李豊はどうでしょう。
この人こそ、「殺破狼」の中の悲劇中の悲劇だと思うのですが。特に悪政を行なったわけでもなく、気がちょっとどころではなく強くて疑り深いけれど、勤勉で清貧な人物です。
美男子を天牢に監禁したけど、その色香に溺れたわけでもないし…。
- 北部大隊が皇宮に侵入する事件
- 西洋軍に都を包囲されて落城しかける事件
- 呂・楊による暗殺未遂事件
- 方欽父ら名門世家によるクーデター
ちょっとかわいそうじゃないです?しかも、4は長庚ははっきりと気づいていて、これを機に殺す気満々です。
ほんと、弟に殺されるようなことをした!?豊(ゆたか)〜かわいそかわいい、不憫で哀れな豊〜
表向きは顧昀に含むところがあり、監禁までしたけれど、内情は一方通行の友情があります。
この人が一番警戒した相手は長庚の方です。
李豊の生母の王太后が「蛮族の女はみな妖しく、そこから生まれて来る者はみな忌まわしい」と言ったのも、李豊の皇后が即位後の長庚を怖がったのも、正しかった!
李豊と顧昀
さて、まずは李豊と顧昀について。
李豊が産まれたのは、元和帝がまだ諸王だった頃にかもしれません。少なくともこの人は顧昀よりも年上ですし。
とはいえ、李豊は父親が皇帝として統治し、繁栄を極めたので、この人は生まれながらの皇子ではないかもしれないけれど、皇帝の息子として、それも太子だった嫡男としての権威性と正統性はあります。
そこが、皇子ではなかった父の元和帝との違いです。(ここで私が思い出すのが、宇多天皇と醍醐天皇の父子。脱線するので端折るけれど)
顧昀の権威性の源が、軍であり武帝の血です。姓が違うので、正統性には多少疑問があります。なお、李豊は顧昀を警戒するようになったきっかけは、臨終の父親に言われたことですが、李豊が自ら顧昀をはっきりと警戒し始めたときには、すでに顧昀は顧慎の息子、若安定侯ではなく、顧昀本人の軍功による権威性を持った状態です。
対して李豊の権威性の源は、元和帝の皇子であるというところにあり、そこに正統性もあります。
顧昀は皇子と同様に後宮で育ちますが、それは元和帝の温情を示すものであって、顧昀の権威性を高めるものではありません。
李豊の正統性の中身
元和帝が暗君であったことを認めると、元和帝の皇子であるという正統性が揺らぐので、李豊は玄鉄事変については最後まではっきりとした調査ができません。
李豊が玄鉄事変を調べないことについて誰か(誰だっけ?江充?沈易?長庚?)が、子は父の過ちを…という儒教的なことを言っていたけれど、李豊はおそらく父の正統性を揺らがせることはできないのだと私は考えます。
玄鉄事変は李豊の母方の叔父の王裹が関わっています。でも、王裹の失脚の理由は玄鉄事変ではありません。
玄鉄事変は李豊の母方の叔父の王裹が関わったし、父帝が黙認したことを認めてしまうと、元和帝が妖女に溺れた暗君になってしまいます。母の王太后は亡くなっているけれど、弟の累が及びそうです。
そうすると、血統の上では顧昀は元和帝を上回る上に、その治世も良くなかったことになると、元和帝の正統性も権威性も揺らぎます。
この状態になって初めて、李豊の前に顧昀がライバルとして現れます。
李豊はツンデレなのでなかなか認めませんが、顧昀のことがとても好きです。雪だるま事件のときは怒ってるけど。
確かに天牢に入れましたが、あれは入れておかないと謀反を起こした軍への抑えが効かなくなるからです。ある意味、顧昀を信じているから入れたのだと私は解釈しています。
だから、その顧昀がライバルになってしまう状況にはできないので、絶対に李豊は玄鉄事変をほじくり返すことができません。
長庚に対する警戒感
李豊からすると、長庚は登場当時から警戒すべき相手でした。
それは、母親が…というのもありますが、そもそも皇子ですから。
帝位を簒奪しうる人物として太子から最も警戒されるのが、兄弟の皇子というものです。(同時に、皇帝からもっとも警戒されるのが太子というものですが)
李豊の権威性と正統性が元和帝の皇子であることなので、同じ父由来の権威性と正統性を長庚は持ちます。
父系社会だからこそ母親が誰か、母親の父親が誰かが重要です。李豊の母親は王皇后です。兄弟の中で最も李豊に正当性があるのは、長男であるだけでなく、正妻の子だから。そして、父帝の定めた太子だという点です。
なお、元和帝の四人の皇子が全員成人していて、封じられた王位を外して並んだとき、李豊に次いで高い地位にくるのが、狂犬・長庚の可能性があります。第二皇子と第三皇子の生母の位は不明ですが、長庚の母親は(蛮妃と蔑まれますが)、私の解釈ではこの人は生前には貴妃、そして没後に皇貴妃を追贈されているからです。皇貴妃は置かれない王朝も多いけれど、例えば置かれた清朝では皇后に次ぐ二番目の位です。
だからこそ、元和帝が、長庚を親王ではなく郡王に封じて、郡王ゆえに帝位を狙う者ではない、と兄二人に警戒しないように、と保護したと解釈しました。
徳
もしも李豊の治世が、父と同じように繁栄を極めたものならば、元和帝同様に李豊本人に権威性と正統性が生まれます。それが、徳です。ところが、あの通りの惨状です。しかも、教皇の口車に乗りかけたり、李豊にも多少原因がありますが…。
王権神授説と同時に易姓革命の歴史を持つ中国では、これはまさしく皇帝に徳がないからと見做されることでしょう。実際に譲位するときには、二度ととも「朕は不徳にして」という言葉を使います。これは定型文ですが、国難は徳がないゆえと見做される世界で、李豊治世下の事件は李豊本人の権威性も正統性も大変傷つけだのだと考えられます。
対して、長庚は権威性の高い顧昀を義父に持って育ちます。都包囲戦では、顧昀の威光を借りて軍を指揮し、そこで自らの軍功をたてます。それはよりによって李豊救出劇です。そこから長庚本人に、誰か由来ではない権威が生まれ始めます。
長庚は母が蛮妃であるという大きな瑕疵がありますが、それを補って余りあるのが「実際には権威(軍)ある顧昀の元で成長し、武帝時代から大切にされる権威ある(宗教)護国寺とも大変関係がある」という点です。
そこに長庚本人の軍功があり、李豊の元で軍機処を任されて、国家を立て直すために各改革を始めます。
李豊本人の権威性と正統性(つまり徳)はゼロどころか、マイナス状態に落ちたところで、長庚の権威性が高まります。長庚本人の正統性は、改革を始めたことにあります。この裏には、木牌があるのですが。
名門世家のクーデターを、長庚は機としますが、江充もこれに乗じて李豊を帝位から引き摺り下ろすことに同意しています。
それは、江充らから見て、李豊の権威性と正統性がすでに失われていて、長庚の方に権威性も正統性もあったからです。
長庚の殺意はどこで生まれたか
李豊に対する兄弟としての情はないけれど、長庚の目的はあくまでも顧昀の保護であり、帝位はその手段に過ぎません。
長庚を突き動かしたのは、性欲愛情です。
顧昀を引退させたいという目的を達成するための、目標がこの戦争を終わらせ太平の世を作ることで、その手段が即位でした。
なので、太子が成長すればさっさと譲位して、江南でラブラブな生活を送ります。
もしも、方欽が名門世家のストッパーとして機能し、長庚に協力していれば、名門世家の粛清(実際には、粛清を下の方から声高に主張する徐令、実行するのは江充、の組み合わせでしょうか)はなかったかもしれません。
その場合、この世界は結局物理がモノを言う世界でもあるので、名門からの刃は方欽へ向かったかも。
さて長庚に、李豊への殺意があったのでしょうか。
はっきりとあります。具体的には、了然和尚が驚愕する109で仄めかし、江充と話をしている124で、方欽の父親による反乱を使うのだと明確にしています。
その殺意が具体化したのは124ですが、殺意が生まれた時点はどこでしょうか。
確かに55で玄鉄事件を知ったときに「李家の連中を皆殺しにしてやる」と思うのですが、それは呪いの仕業でもあるし、「元凶の親父はくたばりやがった、兄貴も死んじまえ!」くらいのことで、明確な殺意、それも他人の手を使って殺してやるという殺意とまでは言えません。
それよりもその後、おそらく、都の包囲戦で顧昀がどういう人であるかはっきりと知った後、二人共死ななかった、じゃあこの人をどう愛するのかと考えた時でしょう。
68の「顧昀がこの国土を守ろうとして死ぬのをただ見ていれば良いというのか」の次から、木牌を得る話に進みます。
木牌を得て、長庚は忠実な協力者を得ることができます。ここでしょうね。
軍機処を得ただけでは、皇帝の機嫌を損ねただけで、歴代の名将たちのように顧昀は死にかねません。しかもあの李豊は気が強い。顧昀が死なずに済むためには、この人を保護できる立場にならねばならないのです。そう。即位しかない。
ここで、愛ゆえに即位する決意をし、そのためには李豊を排除しなければなりません。
殺意が生まれたのはここだと思うんですよ。その手段としての木牌(の簒奪)。
その後に長庚は江南を経て(これも葛ちゃんに命じて計画したことっぽい)、江北にいる間に李豊は一度目の暗殺未遂に遭います。
おそらく、長庚は呂・楊一派による謀反を予期し、ここで李豊が死んでいても構わなかったのでしょう。自分が江北で刺されることは予期しなかったかもしれないけれど。
二度目の名門世家による暗殺未遂では、方欽じゃなくても誰かに刺し殺されるのでも良かったし、心理的に強い衝撃による衰弱死でも良かったでしょう。
あそこで死ななかったら、譲位させて病床に臥した、という名目の軟禁からの衰弱死(と見せかけた毒殺など)でも、構わなかったでしょう。
それは、この人が皇帝である限り、「皇帝であること」そのものに権威性と正統性があるからです。
李豊が生き延びるifはあったのか
あるとすれば、教皇が🐙に乗ってやってこなかった場合。つまり戦争がなかった場合でしょう。
そうすると、あの二人はくっつかないのでお話が始まりません。
李豊は長庚が帝位を狙っているらしいことに気づいてはいるのだけど、それが手段でしかないことには理解していません。まさかあの狂犬が帝位を狙う理由が、顧昀だとは思いません。
つまり、BLを理解しないという罪でお亡くなりに…?鈍感罪?とフォロワーさんと話をしていました。
もしも気づいていれば、顧昀がなんども死にかけている、それこそが帝位を狙う理由だと理解していれば、二人の望み通りに江南で隠遁させたでしょうか…。
しかし、戦時中に大元帥を隠遁させるわけにもいかないし、そもそも江南はまだ戻ってない。
戦後にどうぞどうぞと、隠遁させることはできたでしょうか…。
あの、猜疑心の強さで?
何度考えても、李豊の猜疑心と気の強さと、長庚の猜疑心がバッティングしてしまい、お亡くなりになる。
哀れ種馬
そして、長庚は太子ちゃんと、歯の抜けたばかりの第三皇子を手なずけてしまった。
太子は母后没後に再度長庚と親しくして、第三皇子は行方不明ですが、この人もしくは第三皇子、いや第一皇子でもいいのでしょう。李豊の三人の皇子(女の子も一人はいるらしい)がいるからこそ、長庚は太上皇として江南でラブラブ生活を送れるわけですよ。
つまり、李豊は種馬扱いです。
息子(たち)まで奪われて、本当にかわいそう〜哀れ〜不憫〜そして、そこが良いのだ、李豊。
安らかに死ね。
そして太子ちゃん、その男が他人の手を使って親父を殺したことも、親父の譲位のときも己が人質になっていたことに気づかないといいね…。あの母后が正しかったことに気づいたらどうなるんでしょうね。
狂犬太上皇と顧帥のハッピーラブラブ江南生活が終わりかねなくないです?
今後のスケジュールとこんな時代だからこそ、「笑傲江湖」
今のところこんな計画
「殺破狼」第二稿の本編が終わり、何度やっても、頼りになる男沈易。そして哀れな李豊…。
しかし一番懐かしく思うのはドM・ヤンデレな狂犬プリンセスこと長庚になるのはよくわかってる。
さて、しゃぽが急に鎖が解けたことで七爺は途中でストップ状態に。しゃぽの、地の文の口の悪さの面白さと比べると、まだ七爺はお若い感じがしてなかなか進まないのもありまして。
2022年後期予定だった「笑傲江湖」。一章だけこれを先にします。二章目は、七爺が終わってから。今の予定では七爺の次に「小蘑菇(きのこちゃん)」、そしてP大に戻って「六爻」(つんでれ姫ママ!)。間に「笑傲江湖」を一章ずつやっていく予定です。何年かかるかなっ!
「笑傲江湖」の一章目は10月中に終われるといいなあ。
そして、この計画はいろんな理由であっという間にひっくり返りますので、目安くらいで。
笑傲江湖
これは絶版とはいえ、徳間書店で一度出版されているので。
初めからクローズド。絶版されているし。武侠・仙侠が地味に広がってるし、今こそ金庸を。重版が無理なら、電子書籍でもいいじゃないですか。
あくまでも学習目的ということで。
外書講読中国語「笑傲江湖」参加希望の方は、TwitterでDMください。通知を切ってます。FF外の人のものは普段見てません。相互希望の方は↓にリプください。また、合いそうにない方、初心者らしい方など、結構断っています。
緑色が出ちゃった…
— 垂水わらび 🐙🐙🐙走火入魔 (@tarumiwarabi) September 29, 2022
これを使います。繁体字。
奮身救人: 金庸作品集新修文庫版 (笑傲江湖 Book 1) https://t.co/Lc7zrGLsGz
参加希望の人は、DMください。
通知切ってます。相互希望の方はこの下にリプください(普段FF外の方のものは気づきません。結構断ってきました)#笑傲江湖
中華BL私訳を見せるのを、お断りする場合についてまとめ。 - 垂水わらびの走火入魔
香港で出版されたけれど、書いた人は浙江省のお生まれ
金庸の人生は、まさしく中国の近代史そのもの。
浙江省で生まれて、重慶の大学へ進学し、1948年に香港へ移動したお方です。
50年代に北京で外交官になろうとして拒絶され、香港へ戻ります。
香港には「明報」という新聞があるのですが、この新聞社を立ち上げ、自ら「明報」に「金庸」のペンネームで武侠小説を書いて売り上げを伸ばしたんです。
文学者というよりも、ビジネスマン。武侠ものはいわば、ライトノベル。キャラ小説だもの。
金庸の最高傑作と言われるのが、1967年から1969年に連載されたこの「笑傲江湖」。
1966年から、中国では文化大革命が起き、本作はそれに対する政治批評も込められていると言われています。
なお、80年まで、大陸では武侠ものは全て禁書処分だったようですよ。
「名門正派」による馬鹿馬鹿しい覇権争いが共産党内部の内部闘争でしょうか。ならば邪教はなんでしょうね。ひょっとして、国民党でしょうか。
金庸についてさっと読める論文があったので。
https://www.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~rcmcc/kin.pdf
Kindleにあるのは、台湾版
台湾でも武侠ものは禁書だった時期があるようですが、解禁されて1985年に金庸の書籍を版権を取ったのが「遠流出版社」だそうです。
博客来にもKindleにあるのと同じ書影のものがあり、電子書籍にもなっているので、おそらく本物でしょう。
問題は、Kindleに遠流のものが2つあることです。
そもそもオリジナルの新聞連載版をまとめたもの、、出版版、2003年に世紀新修版があるそうです。
緑色は96年出版で、これは修訂版。おそらく、香港で80年に修正出版されたものが元になってるのでしょう。徳間版が元にしているのはこれではないでしょうか。
遠流では、世紀新修版が06年に出ていて、これは電子書籍になってなさそうです。
赤色は08年出版だそうですが、どうも「金庸文庫シリーズ」みたいな感じっぽくないですか?「新修版」らしいんですが「世紀新修版」なんでしょうか…。
どれがいいんでしょうね。
一応、赤色にしましょ。(トータルで計算すると、緑の方が安そうですが!)
中華BL私訳を見せるのを、お断りする場合についてまとめ。
書いておきます。
「殺破狼」の第二稿を終わらせ「七爺」を公開中です。
特に「七爺」は半分くらいの確率でお断りしてきました。「殺破狼」では1/3くらい。
そもそも、義務がないことをしているので、私だけに読ませる相手を選ぶ権利があるということを覚えておいて。
それで、七爺はこれまで半分くらい。殺破狼はこれまで1/3くらいお断りしてきました。
著作権上の問題があるから、神経を使わざるを得ない
何度でも繰り返します。
日本の著作権法上、原作の著作権は原作者の先生にあり、二次著作権として「垂水わらびが日本語に翻訳したもの」が垂水わらびにあるからです。(この二次著作権は翻訳して出版する権利という意味ではありません。)
よくわからない方の方が多いと思うので、もうちょっと噛み砕きます。
- あたり前だが、もとのストーリー(ストーリー展開、キャラクターなどを含めた全て)の権利は原作者の先生にある
- わらび版の日本語表現にはわらびのオリジナリティーがあるから、わらびの日本語表現はわらびに権利がある
- 二重になってる上にわらびはオリジナルの原作者の先生に許可を得てやっているわけではないのだぞ
- 許可を得ているわけじゃないので、わらびが自分で書いた一次作品よりもさらに慎重になる
で満点回答です。
ですので、一次創作作品なら、読んでくれるだけで嬉しいんだけど、翻訳には神経を使わざるを得ません。
無料部分は「相互フォロワーのみ」で購入証明を求めない理由
そもそも、晋江もHPならログインなしで無料部分は読めます。
著作権上の理由があるので、無料部分を全面的にお見せするつもりはないのだけど、元々私がフォローしている方なら変なことをなさらないだろうと、信頼してますから。
あと、もともと平安趣味(かつBL好みっぽさ)の方々と相互になっていて、この人たちは多分中華古装BLとの相性もいいと思うので。罠を張って沼に引きずりこもうという作戦。
今後も別の作品を始めたときでも、しゃぽ段階・ななぴぃ段階で相互になってて、その作品を持ってない方でも、無料部分ならお見せしますよ。
信頼、それが大切。
今の所ないんだけど、危ういなーと思ったら、容赦なくリムることにしたので、そこはよろしく。
アカウントに違和感を覚えて断ることがあります
上にも書いていますが、義務のないことをしているので、誰にも私に見せろと言う権利はありません。
ただただ、私が見せる相手を選ぶ権利があるだけです。私の「見せる相手を選ぶ権利」と対になっているのは、「読まない自由」です。
こいつ、中国語読めてねえじゃん?と何も反応しなかったら、次からは有料部分のPWのヒントは送らないので。
なお、「七爺」は半分くらい違和感を覚えてお断りしてます。
違和感を覚えるアカウント例
- アカウントIDが初期
- プロフ写真なし
- RTのみを含めて、Tweetが垂水宛のみ
- プロフ空欄
- 「フォローして」と言ってるのに、フォローせずにリプくれる人
形式的な違和感はこんな感じ。
何かやらかしてやれというわけではないと思いますが、単純にネット慣れしていない(お年上もしくはお若い)可能性が一番高いです。
ネット初心者には読んでいただきたくありません。害意なく、とんでもない事件を起こされそうで本当に怖いです。
なので、ネットリテラシーを高めてからにしてください。
アカウントを育てて、私は信頼できる人ですよ、と示してください。
誰しもみんな初めは0ですし、私も、若い頃は色々やらかしてて、年上の皆さんに育てていただきました。しかし、20年前10年前と比べても、今のやらかしのハレーションの仕方は比べ物になりません。
気にしすぎじゃない?と感想をお持ちになる方もおられると思います。
中には「リプ?ってこれですか?」みたいな方まで来るんですよ。
気にしすぎじゃない?と言った人は、責任を持ってネットリテラシー低めの人のお世話をする義務を負うんだね?ということです。メンションを送って「この人にネットリテラシーを学んでから来てくださいね」って送客するからよろしく。
フォローしていくだけの、時間が私にはありません、そんな時間があったら私訳を進めさせて。そもそも原作者の先生、下手したらドラマ版の出演者の各老師まで迷惑が及ぶ可能性もあるでしょ。
一次創作でなにか起きたら、「仕方がない」ですみます。
私訳は、大騒ぎになったら原作者の先生に迷惑がかかる可能性がある以上、大変慎重に相手を選ぶ必要があります。
中身については、今の所お断りしたことはありません。
極端ではなく、実際にあり得るだろう例を挙げておくと、実はネトウヨさんだったのがわかった場合。
わらびだけど、根っこを引き抜いて逃げ出すことでしょう。
あと、気にした方がいいのかなと思うのが、このご時世でnmmnを出してしまうアカウントかなあ。どうするかまだ考えてないです。(ドラマもお蔵入りかもしれませんし)
要件を書いてるときには、満たさない人には(有料部分は)読ませません
これは「殺破狼」の場合に多かったです。1/3くらいは断ってます。
晋江版・繁体字・簡体字と「中国語で書かれたもの」が三つあります。
いずれも微妙に差異があります。三つとも持ってるのは、垂水だけではなくて、結構な人数です。
オリジナルは晋江。なので、人名のタイポがあることもあるんですよ。
繁体字は晋江版をブラッシュアップした感じで、おそらくこれがPriest先生の中での完成形ではないかと思います。
簡体字は晋江・繁体字から一部分消去されてて、章立ても切られた部分から繁体字版とは異なります。
私訳は晋江版です。
第二稿は晋江の購入証明のみを必須にしています。
なので、第二稿は、書籍のみ、韓国翻訳版買ってるんですが、という人は断ってます。
なお、韓国版は繁体字版からだそうですが、私は韓国語は読めないんですよ。韓国語を真剣に学んでいる、ネイティブだという方ではなくてRIDIから魔翻訳(自力では読めないくせにこの言い方もどうかと思うよ?)でどうのこうのって、私に言わないでほしい。私には韓国語が読めないから、訳された方の解釈が読み解けません。機械翻訳をまとめたくらいにしか思ってなさそうな方には見せたくないよ。悲しい。
今後も、要件を書いてるのに満たさない人に、有料部分をお見せすることはありません。
今後のスケジュール
しゃぽに関しては、スケジュールに要注意。
今は、「七爺」無料部分、「殺破狼」無料部分と有料部分をお見せしています。
「殺破狼」は、今後の順番。
- 8月31日で「殺破狼」有料部分の新規受付停止。無料部分は可能。「七爺」無料部分継続。
- 夏中に「殺破狼」番外編まで含めて終了。
- 「殺破狼」有料部分停止(無料部分のみプライベッターにて相互のみ可能)。
- 11月「七爺」無料部分再開
- 「七爺」有料部分開始
なので、しゃぽの有料部分を停止しているときに、読ませろと言われても無料部分公開中ならまだしも、停止後にこそっとデータを送る、なんてことはないので、念のため。
殺破狼の、元和帝についての独自研究。
「殺破狼」の元凶の一人、元和帝という人について。大いにネタバレしているので、要注意。
番外編まで含めた、最後の最後まで読んだ人向けです。
地雷だったら地雷を抱きしめて吹っ飛びやがれ。
スクショでは回さず、リンクで回してね。
元和帝の立場の弱さ
この人は、良く言えば温和・柔和・優雅で戦争を好まない人物です。悪く言えば優柔不断で疑心暗鬼に陥りがちな人物です。
これは、性格的な問題もあるのだが、立場的な問題もあると考えました。
この人は武帝から見ると傍流にあたる人で、本来諸王の一人でしかなかった人です。おそらく、武帝の兄弟や従弟の孫にあたる人で、世代としては顧昀と同じ(年齢は親子相当)。
武帝の実子が一人もいなければ問題なかったかもしれないけれど、武帝の実子が一人生き残っていて、その長公主には、玄鉄虎符が与えられています。
おまけにその夫は安定侯顧慎で、玄鉄三部を率います。
政治は李豊、軍は顧昀と、政と軍が分離しているのが問題だという話が(長庚の少年時代に)江南に下る頃から出始めますが、それは元和帝と顧慎の時代にも変わりません。
むしろ、元和帝と顧慎の時代の方が不穏ではありませんか?
事実、李豊はクーデターに複数回遭ったり、都を包囲されたり気の毒です。その最後も。
ただしこの世界は物理がモノを言う世界なので、方欽一派も了痴も軍の精鋭部隊を掌握していないので、虚を衝こうとしてもう、すぐに長庚にひっくり返されます。
初めの包囲戦のときは皆長庚の背後に顧昀を見ていることでしょう。それ以降は包囲戦のことを皆知っていて特に北部大隊は長庚に心情的に親しい存在になります。
物理がモノを言う世界なので、軍を完全に掌握する人がクーデターを起こそうとすると、物理で政権をひっくり返すことができます。ただし、その顧慎にも顧昀にもそのつもりがないのですが。
元和帝から見た、顧慎
元和帝が即位する大義名分は、武帝に後継に指名されたというだけのようです。なので、別の王が虚をついて即位しようとしたところを、方家の親父さんらが長公主と連絡を取り、長公主の玄鉄虎符を使ってそれを阻止した模様です。
元和帝は武帝と血縁関係も薄いので、それゆえに長公主夫妻やその他名門の後ろ盾が必要だった人です。おそらく名門の中でも最も大きな部分が長公主夫妻だったのでしょう。
元和帝から見ると長公主夫妻は恩人です。しかし、後ろ盾になることができるということは、最も警戒せねばならない相手ということでもあります。首をすげ替えることができるという意味ですから。
元和帝からは、顧慎の牌は三つあるように見えると考えますがいかがです?
一番初めが玄鉄三部(玄鉄大隊)という顧慎本人の物理的な実力。
もう一つは妻の長公主の持つ玄鉄虎符という権威。
三つ目が長公主は武帝の実子であり、その子の顧昀は武帝の血を引く男児である、という血統。
この三つを順に切っていくとすると、どうなることでしょう!!
玄鉄虎符を使って各地の軍を動かし、顧慎本人が玄鉄大隊を率いれば武力による現状変更ができます。顧慎本人が即位しなくても、武帝の娘たる長公主、もしくは、母系ではあるが武帝の孫の顧昀が即位する手があります。女帝の即位を許す世界かはわからないです。ですが、顧昀なら血統も折り紙つきですから。(顧昀が即位すれば、国姓が李から顧に変わります。それに伴い国名も変わるでしょう。都は北京だと踏んでいるし、燕あたりでしょうか。)
これは、顧慎にそのつもりがなくても、元和帝からどう見えるかという話です。
顧慎が十八部落を制圧して、凱旋した段階でどう元和帝はどう感じたでしょうか。
恐怖じゃないですか?
顧慎はこのまま太平の世に向かわせて引退する気満々なのに、元和帝は大変恐ろしいのですよ。顧慎は国境を軍が押さえるから外から敵がやってこないと思っていますが、元和帝は軍の解体を模索し始めます。これは、動かしようなない、権威、血統とは違い、物理的な兵力は削減できますから。兵力を削減した暁には、武力に裏付けられた権威も下げられます。そこへ貴妃が現れて籠絡され…玄鉄事変を黙認してしまうわけです。
玄鉄事変
もう一人、貴妃から見れば、安定候夫妻は十八部落の仇敵です。その二人に最も大きなダメージを与えることができるポイントは、最も弱い顧昀です。どうやら長公主は子どもをもう産めそうにないでしょう?
元和帝から見れば、顧昀こそが父母から軍と血を受け継ぎ、最終的に自分に変わって即位しうる脅威(しかも若いので時間という有利さもある)ですよ。
その元和帝の弱さを突いたのが、玄鉄事変です。玄鉄事変で、顧昀が死ぬ必要は多分なく、目が見えず耳が聞こえない状態で十分だったのではないでしょうか。
姉妹の逃走のきっかけは玄鉄事変ではなく、おそらく胡格尔の妊娠です。
貴妃は自分の子と胡格尔の子で、烏尔骨を作る気で逃走したのだと思います。後宮では烏尔骨は難しいから。
顧慎は十八部落はまたどこかの段階でまた蜂起すると踏んで、玄鉄事変の被害者でもある顧昀を鍛えることで、結果的に将来の梁国を救うことになります。
そして、頑丈な人だったらしい顧慎はなぜか早死にしています。戦死ではなかったようなので…盛った?
顧昀
さて、元和帝に戻ります。
顧慎・長公主と相次いで亡くなり、皇貴妃の魅惑も消えてしまうと、残ったのは病弱な少年の顧昀一人です。
武帝の血を引くこの少年を路頭に迷わせるのは、その両親が恩人だったために仁義からは許されません(と本文に書いてある)。そのために後宮に引き取ります。ところが顧昀は毒の影響で病弱だし、本人には実力がない(ように見える)し、少年は軍で育ったとはいえ、軍を掌握しているわけでもありません。
権威も血統だけなので、両親がいない幼児は元和帝から見ると大した脅威ではない。残るのは罪悪感です。
なので、ただただ可愛がるわけです。
しかし、子どもはすぐに成長します。大人はすぐに老人になります。元和帝はそれを知っていますし、まだ玄鉄大隊の旧部が生きています。警戒感が残ったまま、そんなこんなで、気がつけばあの子は十七歳で西域の反乱を平定します。
警戒感があるので、解毒剤も素直に渡せません。
だけど、罪悪感もあるし、可愛がったんですよ、この人は。同時に情で顧昀を自分に結びつけることは計算していると思います。皇子たちと顧昀を一緒に育てたのは、プランAの太子(李豊)と情で結びつくかは別としても、第三皇子と顧昀が仲が良いことを見抜いて、第三皇子と顧昀を情で結びつかせて第三皇子の即位がプランBだったのでしょう、
もしも元和帝がどちらかに振り切ることができる人ならば、臨終の長公主から顧昀の身の保証と交換条件に玄鉄虎符を取り上げたことでしょう。そして後宮で皇子たちと一緒に養育していた顧昀を何年か後に殺して、表面上は、哀れで美しい子が病気で死んでしまいましたということにしてしまうこともできたんです。
だって、この人の後宮だもの。
しかし、優柔不断な上に罪悪感があるので、長公主からも顧昀からも玄鉄虎符を取り上げることもなかったようで、親切に可愛がって成長させてしまいます。そのおかげで、将来の梁を救うことができるけれど、それは結果論です。
第三皇子が犠牲になる事件は、あれはおそらく、顧昀が死んでも優柔不断な元和帝は仕方がないと処罰しないのではないかと宦官たち(多分バックに了痴がいる)は踏んだのではないでしょうか。
政と軍の分離については、元和帝と十七歳以降の顧昀の関係は擬似的な父と子の情が結びつけます。やはり、元和帝は警戒は続けていますが。
その元和帝は自分が死ぬところにきて、ふと思うわけです。プランBの第三皇子は死んだ。次はプランAの李豊と顧昀の時代はどうなるだろうか、と。第二皇子がプランCにならなくても、この顧昀は若くして軍を掌握する実力がある上に母から玄鉄虎符を受け継ぐ。そもそもが顧慎以上の脅威でしたし、李豊よりも若い。ともに育ったとは言え、顧昀はあまり李豊を好まないようだ…。(とはいえ第二皇子も好まないのでプランCにはできないと踏んで)それで最後に、李豊には顧昀に気をつけろ、と釘を刺してしまいます。
李豊は馬鹿ではありません、太子時代から李豊が顧昀に友情を覚えているけれど、内心顧昀の脅威性に気づいています。友情の矢印が片側通行なのもわかっているかも。父に釘を刺されれば、のちに天牢に入れることになっちゃう。即位後に先帝時代の玄鉄事変の真相が明らかになる頃には、先帝が誰の何を恐れたのかはっきりと理解しているでしょうから。
李豊についての独自研究はまた別にしておいて、臨終の元和帝に戻ります。
元和帝は警戒する反面、顧昀に罪悪感もあるので、解毒剤をそれとなく渡すわけです。これが解毒剤だと言えないのが元和帝という人です。
顧昀という人の本性が情の深いと踏んだのか、長庚を預けてもう一つの擬似父子の情で縛ろうとします。これが、元和帝のプランC。
元和帝のプランC
顧昀は実に情に厚い人です。
顧昀が玄鉄事変の真相を知ったとき、長庚の母親が自分の仇で長庚の父親はそれを黙認したと知ることになるので、顧昀が長庚の命を狙う可能性がありました。ここで仇を討つという思考に入る人も少なくないでしょうに。
玄鉄事変がおそらく両親の死(心労?)を早めていますし、あの事件で自分を守ろうと何人もの人が亡くなったり、冤罪で左遷されたりしています。
ただし、顧昀にちっともその葛藤がないのは、長庚への義父としての情が深いからで、何もかも支離滅裂な元和帝がやったことで唯一まともに意図が機能したことではないでしょうか。
元和帝は、長庚を育った雁回にちなんで「雁北郡王」に封じます。「雁」は南北を往来する渡り鳥です。帰ってきた人とも読めますが、ここにとどまるべきではない(=帝位につくべきではない)人、とも読めないでしょうか。これは、兄二人にこの人は強力な後ろ盾を持つが脅威ではないと示して、保護しようという意図ではないかと思いました。
というのも、父系社会だからこそ母親が誰か、その母親の父親が誰かが重要です。後宮ものドラマの見すぎでしょうか(三本くらいしか見てないけど!)、皇帝の息子たちの中では母の位も重要です。長庚の生母は、私の解釈では生前は貴妃、没後皇貴妃に封じられた人です。皇貴妃は置かれる王朝と置かれない王朝がありますが、例えば置かれた清朝では、皇后に次ぐ地位が皇貴妃です。つまり、生母が皇后の太子・李豊に次いで長庚が皇子の序列の中では高いのではないかと思うのです。だからこそ、郡王に封じて皇位を狙う人物ではないと兄二人(多分特に第二皇子)に教えて、保護しようとしたと考えます。
何もかもが相反しているように見えるのが、それがこの元和帝という人物です。
おそらく、元和帝は顧昀が即位せず、自分の生き残った子ども三人のうちの誰かが帝位に就き維持するなら誰でもよいのではないかと考えていたのではないかなあと、私は考えました。顧昀が、李豊も第二皇子も帝位にふさわしくないと考えて、情から長庚を即位させて後ろ盾になるならそれでも良いと。つまり、長庚の即位がプランC。
顧昀が即位しないことがこの人にとって最も大切なことだと考えてみてください。死の間際に、第一の布石として李豊に顧昀を警戒させ、李豊がうまくいかないときに備えた第二の布石として長庚を兄からも顧昀からも保護しようとしたと捉えられば、一貫しています。
ただ、まさか、あの長庚が呪われた狂犬で、あの子ども時代にすでに顧昀に対して邪な感情を抱いているとは思いもよらなかったことでしょう。
本当にあの狂犬ちゃんったら、狂犬なんだから。
書く女、後深草院二条についての、独自研究
日本の平安時代の文学の特徴は、和歌とかな文字散文と日記。男性、それも天皇や藤原道長クラスの書く「日誌」「記録」的な側面の強いものから、女性の書くかな文字による作品まであります。
ただし、散文の「源氏物語」「枕草子」には和歌がたくさん入るし、和歌集に物語部分がある「伊勢集」があり、「土左日記」は日記仕立ての物語で、和歌も入るので、実にファジーです。
「土左日記」は地方に赴任した国守一家が京都に帰るという話ですが、鎌倉時代になると鎌倉と京都の間を人が行き来するようになり、紀行文(道行文)が発達するようになります。紀行文には、歌枕を通りがかってそこで一首、なんて具合だから、実にファジー。
900年代の紀貫之と伊勢どころか、1000年代の藤原道長と紫式部と清少納言をはるかに過ぎ、鎌倉時代のど真ん中、ちょうど元寇(1274年・1281年)の京都を舞台に、とある上皇に仕えた女官(=女房)が書いた怪文書があります。
それが今回の「とはずがたり」。作者は、後深草院二条(ごふかくさいんのにじょう)。仕えた人が後深草上皇(「御所さま」)、女房名が「二条」という意味です。本名は不明。ただし、父親は大納言の源雅忠(久我雅忠)、母親は後深草院が天皇時代に典侍だった藤原近子(四条近子)です。
構造
「とはずがたり」は大きく分けて、平安時代からの女房日記の流れを汲む女房日記が前半にあって、これがまあ、あの、その。ということなんです。
そして出家後に鎌倉に行って四国に行って〜という紀行文になり、最後は再度後深草院や西園寺実兼が登場して、後深草院と死別ししばらくして終わります。
なので、女房日記と尼さんの紀行文のハイブリッド。ああ、実にファジー。
この「とはずがたり」という怪文書の書くことをそのまま真に受けるわけにはいかないのだけど、特に女房日記部分がなんとまあ…。「愛欲編」とも呼ばれる部分なので、「とはずがたり ヤバい」というのは本当にそうです。
だって、愛欲編は、言わば、「私の知ってる変態ランキング」ですから。
しかも、愛欲編の中身をそのまま怪文書、夢小説だとするわけにはいかないのが、「増鏡」に本作と同じ場面がいくつか描かれているからです。その一つが、共通テストに出ました。
以下は独自研究です。
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日本史に残る変態天皇、後深草院
「とはずがたり」という「私の知ってる変態ランキング」のぶっちぎり第一位は後深草院です。
後深草院は少年時代(天皇だった頃)に仕えた典侍の近子を忘れられず、遺児の二条を引き取って育てました。この二条が大人になるのを待って襲うわけです。後深草天皇と近子の関係は、男子中学生の前になんでも言うことを聞いてくれる綺麗なお姉さんがいたようなものです。
この後深草院は、なかなか不幸な人で、天皇として即位しても父親(後嵯峨上皇)が治天の君(でも政治的な実権は鎌倉側)だし、割とすぐに同母弟の亀山天皇に譲位させられます。
この後深草院が持明院統で北朝、亀山院が大覚寺統で南朝と、(日本の)南北朝時代はこの兄弟の不仲が一つの原因です。そもそもの後深草院は政治的な実権は皆無ですが、上皇の一人であることは事実なので、権威ゼロというわけでもないです。
暇だが権威だけはあり、立場上鬱憤を募らせているだろう、そこそこ若い男なんて、最悪の極みですね。変態にならないわけがない。
おそらく後深草院は自分を「源氏物語」の光源氏に見立て、近子を藤壺、二条を若紫に見立てています。被害者の二条本人がそのように書いているからそう見えるのだけど。
その若紫たる二条は御所さまのことを二人目の父親のようには思っていても、「雪の曙」のことが好きだったので、少女はびっくり仰天!というシーンから「とはずがたり」は始まります。
ただ、成長した二条は、自分が若紫扱いであることを鼻にかけるところがあって、後深草院の正室の東二条院(西園寺公子)とぶつかったり、のちに身分の低い明石の上役で琵琶を弾けと言われて母方の祖父と大げんかを起こすシーンがあります。
2022年の共通テスト「古文」
共通テストに「増鏡」「とはずがたり」で使われた部分は、後深草院が二条に命じて自分の異母妹(前の斎宮が任期を終えて伊勢から帰ってきた)を襲いたいから手伝えって言って二条がその通りにするというところです。二条のツッコミとともに記録されている。
しかも後深草院ときたら寝取られ性癖があるようで、二条と他の男の関係を知っています。積極的に後深草院は他の女を抱くけれど、二条を他の男に差し出しもします。
二条にとって、御所さまくらい重要な人物が二人いて、一人がこの「雪の曙」で、おそらく西園寺実兼。そしてもう一人が「有明の月」という密教の阿闍梨で、おそらく御所さまの異母弟の性助法親王(仁和寺の門跡)。
後深草院は政敵(自分の同母弟)の亀山院に二条を差し出してみたり、どこかの爺さん(大臣ですが)にも二条を差し出してみたりするわけです。
さらに、「増鏡」では後深草院に捨てられてがっくりきている斎宮のところに、西園寺実兼(「とはずがたり」の「雪の曙」)が通うようになります。裏に後深草院(と二条)がいるのではなかろうかと疑いたくなる…。
ザ・HENTAI。
二条と当時のタブー
二条という人は、読めばわかるけれど、自分の美貌と才能を鼻にかけた、結構付き合いづらい感じの人です。
「増鏡」に「とはずがたり」のシーンが描かれるように、そこそこ登場してくるくせに、和歌が勅撰和歌集に入らないとか、和歌の才能も微妙どころで、琵琶の名人だと自称しているけど、多分微妙どころじゃなかろうかと思う訳です。この人の才能は散文にあって、和歌ではなかったのだと、私は思います。
(嫌な女なので、同時代の人は勅撰和歌集に入れなかったのかもしれないけど……)
この人は同性には対抗意識を持って接して、男性には絆されやすいので、端から見るととんでもなく嫌な女ですよ。
「私が御所さまに愛されて離そうとしないから、東二条院(後深草院の正室。西園寺公子)が、御所さまは二条を女御にするつもりかと嫉妬しちゃってさ〜」とまでの、砕けた書き方をしませんが、東二条院への意識は相当なものです。
昔の人の行動を現代の倫理観に当てはめるとちんぷんかんぷんになってしまいますが、後深草院は当時のタブーも破った変態です。
しかしそもそも、後深草院がどれだけ二条を愛そうが、二条が典侍の近子の娘なので女御にも更衣にもしてやれないんです。というのも後深草院が「ある女と通じた男はその女の娘に手を出してはならない」という当時のタブーを破っているから。
現代から見ればギョッとする、叔父と姪(天武天皇と持統天皇のような)や、叔母と甥(東二条院と後深草院本人)の間での近親婚を繰り返す時代ですが、それでもいくつかタブーがあります。その一つがこの母と通じたら娘と通じてはならないというものです。
後深草院よりも前に、花山院が母と娘に(この場合は同時だった)手をつけて、呆れられる逸話が残っています。この場合は、花山院の娘ではないのが明らかです。
後深草院はそれよりもひどい。愛人の遺児で、二人の年齢差(約十五歳)を考えれば、二条自身が久我雅忠の娘ではなく、後深草院本人の娘の可能性がゼロではありません。
この二人の関係がどこまで真実かは別として(下手したらいわゆる夢小説の可能性が0.1%くらいある)、これは誰だとわかる関係で、「この男はタブーを破る変態男です」と書き記すわけです。
書く女の復讐
後深草院の寝取られ性癖に見えますが、ただの性癖でしょうか。いわば後深草院が二条を他の男と寝させたのと、現代でもホモソーシャルな男たちが一人の女を輪姦する事件にオーバーラップします。私の世代だと、スーパーフリー事件という身の毛もよだつ事件があったのですが、そんな感じ。
最近でも、映画監督が俺と寝たら役をやると言って迫ってきて、逃げようとしたら、助監督が助けてくれたのだが、その助監督もホテルに連れ込もうとしたのだ、という告発がありましたが、あの世界です。
後深草院は身分は高く、権威はあります。ただし、権力なし。大して惹きつけるものがない人が使った手段が、自分が手塩にかけて理想の女に育て上げた女の提供かな。
地獄ですね。
この時代に、この種類の地獄は幾つも幾つもあったことでしょう。そして忘れ去られる。
しかし、二条は記しました。長らく知られなかった、忘れ去られた作品です。ですが、「増鏡」と一致する部分があるので、全てをフィクションだ、夢小説だと決めつけるわけにはいきません。
二条の描く後深草院をどう思いましたか?
800年後の現代人の私は、日本史の中で最も惨めな天皇だと思いました。
天皇+変態というキーワードで思い出すのは、陽成天皇や花山天皇ですが、後深草院ほどの惨めかな?
それこそ、書く女・二条の復讐です。
他の変態男
二条にとって、おそらく印象深い相手が二人いて、一人は初恋の人「雪の曙」。もう一人が早死にする「有明の月」です。
こんなに綺麗なニックネームをつけるんだもの。印象深いのでしょう。
けど、現代人の私から見るとやっぱり変態。なので愛欲編はやっぱり「私の知ってる変態男ランキング」と読むわけです。
執念深い有明の月
「有明の月」という腐れ門跡が二条の愛人の中にいるのですが、この人は出家の身という立場を捨てることまではしなかったけれど、結構あっさり死んじゃいます。
実際のところは愛と肉欲の中に生きた人ではないかもしれないけれど、自らの意思とは反するところで出家させられ、寝取られ性癖の兄にからかわれるように美貌の女を差し出されるわけです。
中学生の前に、なんでもいうことを聞いてくれる綺麗なお姉さんが現れたどころではないでしょうね…。
二条の方はそうでもないようだけど、この坊さん、ほぼストーカーです。
坊さんからもらったラブレターが「とはずがたり」に出てくるのだけど、もらった二条は鼻血を出して倒れます。
その二条の方は、多分当時からしてもそこそこ熱心な仏教徒ですから。
私は呪いは、その力を信じる人に効くものだと考えているのですが、熱心な仏教徒に、高僧が呪符と一緒にラブレターを送ってくるんです。効くよね。
二条のことを一番愛したのはおそらくこの「有明の月」。二条って自分よりもはるかに身分の高い女に対抗意識をすごく持っているけど、男には結構絆されやすいところがあって、腐れ坊主のことをちょっと可愛く思ってたんじゃないかな。
と読みました。
しかし、二条は書く女ですから。「高位の破戒僧」にこんなに怖い恋文をもらいましたと残します。文面も、地の文とは全く異なる、恐ろしげな文です。
変態ランキング二位はやはり有明の月。
打算と情の男、雪の曙
「有明の月」が執念の男なら、もう一人の「雪の曙」は打算と情の男のように読みました。
西園寺実兼と推定されるこの人ですが、二条が他の男(複数)と寝るのに耐えられなくなってくるのか、手を引いていきます。変態祭りの「とはずがたり」の中で、一番の変態が後深草院、二番目が有明の月ですが、雪の曙はそこそこ常識があり、二条とは惰性とも情とも思える関係だと読みました。
それなら、一夫多妻(もしくは一夫一妻多妾)時代なので西園寺実兼が二条を側室として引き取ってもいいだろうに、その気はないらしいんです。
二条と後深草院がべったりだからでしょう。あと、二条には後ろ盾がいません。
二条の父親は既に亡くなっていて、しかも父の後妻との関係も悪いです。さらに二条は母方の祖父(ピンピンしてた)とも関係が悪く、その母方の祖父と関係の悪い叔父(嫡男だが…)という人しか二条の後ろ盾になるような人がいません。
実兼の嫡祖母にあたる北山准后が二条の母方の祖父の姉で、この人は二条をそこそこ可愛がりましたが。後ろ盾になるような人ではありません。そもそもが実兼の嫡祖母ですし。
後深草院以外に後ろ盾になる人がいない二条を側室にすると、後深草院をコケにするか、自分が後深草院にコケにされるかということで、二条とのべったりぶりではおそらく後者です。
その代わり、実兼は、二条が産んだ娘を引き取ります。娘を引き取るところに、情を感じます。しかし、情だけの男ではありません。
かつて藤原道長が自分の娘たちを次々に入内させていったのを思い出してください。
西園寺実兼の成長した娘は三人いて、三人とも天皇や上皇に差し出され、院号を受けます。
そう。西園寺家にとって、娘は天皇の正室にするものです。娘は多ければ多いほど良いような家柄です。二条の子が女の子だから引き取ったが、男の子ならどうなったでしょうね……
実兼の娘のうち、二番目の西園寺瑛子(亀山院の妃の一人。昭訓門院)が二条が産んだ娘ではなかろうかということになっています。
ただし、二条の書いたものをそのまま全て真に受けるわけにはいかないのではないかとも思っていまして。
上にも書いたけれど、亀山院と二条は関係したことがあり、おそらく雪の曙はそれを知っています。雪の曙が実兼で、二条が実兼の娘を産み、その子が無事成長したならば、ですよ。比較的常識のある実兼が、いくら娘は駒で、名目上の母親は別にいたとしても、かつて二条と関係した亀山院に二条の娘を差し出すでしょうか。
問題は亀山院が、瑛子が二条が生んだ子と知っていたかの方なのかもしれません。亀山院への牽制が、瑛子というタブーだとすると、実兼はかなり陰険だと思いませんか?
二条が時期を入れ替えて書いていて、二条が雪の曙の娘を産んだ時期がかなり遅くて、三女の西園寺禧子(後醍醐天皇の中宮)の方だとするとちょっと面白いなあと思いました。
西園寺禧子は和歌の才能があり、あまり決まりにとらわれなかった人だということなので。
「とはずがたり」では二条はもう出家している設定ですが、西園寺禧子が生まれた頃、二条は40歳手前です。この人は結構丈夫な人だし、経産婦でもあるので、出産できなくはないのではないかと思うんです。実際に平安時代には藤原穏子が40代で村上天皇を出産した記録があります。このとき夫の醍醐天皇も40代です。
ただ、西園寺禧子が生まれた頃に父親の西園寺実兼がすでに50前なので……現実的ではないかもしれません。
私家版「七爺」開始
自主ゼミ中国語翻訳は、リクエストにお応えして、同じくPriest先生の「七爺」を取り上げます。
人間関係の構造が、しゃぽそっくりです。
— 垂水わらび 🐙🐙🐙走火入魔 (@tarumiwarabi) July 21, 2022
それぞれ、
お七が顧昀の
烏溪が長庚の
赫連翊が李豊の
原型だったのかなーって。烏溪は呪われた狂犬ちゃんではないと思うけど。
Priest原作 「七爺」 第一章 七世に及ぶうたかたのごとき人生https://t.co/J7jsib5AUk #七爺 #七爷 #中華BL
もちろん、翻訳権は持っておりません。物語の著作権はPriest先生にあります。
ですが、「私家版」の著作権は垂水にあります。
「七爺」はまだ鎖になってませんし、日本語に翻訳されているわけでもありません。
学習目的です。
「七爺」の27章まで
無料で出ている27章まではぷらいべったーを予定しましたが、予定投稿を使いたいので、ポイピクに変更です。
ただし、相互さんのみ。
その後は、晋江文学城での購入証明を求めた上で、別の場所でのパスワード式公開にします。
「七爺」28章以降の公開方法について
「殺破狼」同様、パスワードは定期的に変えます。リスイン式でも、ぷらいべったーでもありません。
TwitterのDMでお送りします。レスポンスのない方は次の回のPW配布はありません。
ただし、出戻りはいつでも大歓迎です。続いている限り、ご自分のペースでどうぞ。
晋江文学城での購入方法についてはこの記事を読んでください。
warabitarumi.hatenablog.comhttps://warabitarumi.hatenablog.com/entry/2021/04/28/231409
ルールについて
義務のないことをしているので、ルールは私が決めます。
読んで反応してくれる人が欲しいので、ハードルがあります。
必要なのは、
- Twitterのアカウント
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です。
FF外通知は切っています。フォローしていただかないとメンションしていただいても気づけません。もちろんDMも閉じています。
垂水わらび (@tarumiwarabi) | Twitter
Twitterにてフォロー後にコメントをいただくと、フォロバします。
27章に至る前まででしたら、購入証明までは不要です。
28章からは、購入証明が必要です。
購入証明をしていただくと、パスワードのヒントをお教えします。パスワードは、四文字熟語のピンイン打ちです。スペースなし。
パスワードの四文字熟語が「屁颠屁颠」なら、「pidianpidian」。ググればすぐに出るようなものにします。スマホで簡体字を打てるように設定すると、手書きで入力できます。それで検索をかけるとすぐに出る、典型的な四文字熟語、成語を使います。(それくらい勉強したって良いんじゃないですかね?by沈易@「殺破狼」)
私のペースでやるので、タイミングが合わない方もおられると思います。ご自分のタイミングでDMください。
終わるまでなら、いつでも欢迎回来!
晋江文学城での購入証明方法
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- 身構えるのは「アカウントIDが初期」「プロフ写真なし」「Tweetが垂水宛のみ」「プロフ空欄」。単純にネット慣れしていない(お年上もしくはお若い)可能性が一番高いですが、ネット初心者には読んでいただきたくありません。害意なく、とんでもない事件を起こされそうで本当に怖いです
「七爺」は半分くらいお断りしてるから、こっちも読んでね。
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隠さないで欲しいのは、3点です。
- タイトル
- タイトルの下のじょもじょとした数字
- 点数
です。
他の作品も購入されている方も多いと思いますが、そこは隠してくださって結構です。
もしも晋江で全面的に鎖になったら?
もしも今後全体的に晋江で鎖になった場合にも、鎖前に購入した方は購入証明ができます。
全面的に鎖になったら、無料部分をクローズさせます。
購入証明できる方のみを対象に、そのままクローズドで行います。
購入証明はお早めにどうぞ。
クローズするのはどんな場合?
公式に日本語で翻訳出版が決まった場合(垂水版とは限りません。もちろん)は、その段階で打ち切ります。
垂水にやる気がなくなったら途中でクローズさせます。義務がないから。今のところまだ長庚と顧昀ほど、このCPと物語を愛せるかわからないですし。
時間が取れなくなる可能性がないわけではないので、そのときはできる限り暇を見つけて続けますが、そもそも義務がないから、全ては気分次第です。
お行儀の悪い人がいる場合も打ち切ります。「殺破狼」ではPWをお渡しした方の中にはお行儀の悪い方はおられなかったのでそこまで心配していませんが。
守ってね
コピペ・プリントアウト・スクリーンショットは、ご自分一人だけならちっとも構いません。
ただし、有料部分のパスワードを他の人に回すことは禁止。
さらに、コピペ・プリントアウト・スクリーンショットなどで(有料部分・無料部分含めて)私訳を回すのは禁止。
理由は、日本の著作権法上、原作の著作権はPriest先生にあり、二次著作権として「垂水わらびが日本語に翻訳したもの」が垂水わらびにあるからです。(この二次著作権は翻訳して出版する権利という意味ではありません。)
よくわからない方の方が多いと思うので、もうちょっと噛み砕きます。
- あたり前だが、もとのストーリー(ストーリー展開、キャラクターなどを含めた全て)の権利はPriest先生にある
- わらび版の日本語表現にはわらびのオリジナリティーがあるから、わらびの日本語表現はわらびに権利がある
- 二重になってる上にわらびはオリジナルのPriest先生に許可を得てやっているわけではないのだぞ
- 許可を得ているわけじゃないので、わらびが自分で書いた一次作品よりもさらに慎重になる
で満点回答です。
妙な方を見かけた場合には、ご一報ください。
垂水わらび (@tarumiwarabi) | Twitter
お見せする義務は私の側には一切ありません。危うい感じを覚えた場合にはお断りいたします。義務のないことなので、申し訳ないとも思いません。